警察の人種差別的捜査を問う訴訟/東京地裁で第4回口頭弁論
2024年11月28日 16:23 社会感覚を麻痺させる職質 “当然だと思っていた”
人種や肌の色、国籍、民族的出自などに基づき捜査対象を選別する「レイシャル・プロファイリング」によって警察から職務質問(職質)を受けたのは、人種差別であり違法だとして、外国ルーツの男性3人が、国と東京都、愛知県に損害賠償などを求めた訴訟の第4回口頭弁論が26日、東京地裁であった。
訴状によると、訴えを起こした3人はパキスタン、米国などの出身で、来日後に日本国籍や永住権を取得。これまで車やバイクを運転中、またスーパーに買い物に行く途中などに警察官から職務質問を受け、在留カードやパスポートの提示、所持品検査を求められた。いずれも警察からは、職質に対する明確な理由の説明はなかった。
この日の法廷では、被告側から提出された書面と、それを受けて原告側が追加提出した書面について双方の主張があった。
原告代理人の谷口太槻弁護士によると、被告側は、原告への職務質問は合法であり、交通違反が認められるなど職務質問を行う理由があったと主張。しかし実際には、交通違反切符が切られていないため、その主張は矛盾しており、原告側は「外国ルーツだから止めたのではないか」と指摘した。
これに対し東京都は、交通違反があっても一定の場合は違反切符を切らない基準があると主張したうえで、その基準となる証拠を裁判所へ提出した。しかし、その証拠がすべて黒塗りの状態だったため、原告側は当該証拠の開示請求を行った。
裁判所はこの日、東京都に対し、黒塗り部分の開示有無および追加の証拠資料提出有無について、次回期日までに立場を示すよう求めた。
また現在、国は、都道府県警に指導する義務はあるが、原告が国に対してそれを指示することはできないと主張している。これに対し原告からは、過去の判例に基づき、国が都道府県警に指導しなくてはならないと原告が主張できる旨を示す書面が提出された。
次回期日は、来年2月28日11時。原告側が、提出書面(外国ルーツの職質率調査結果と学者の意見書、元警察官の証言記事、体験談、海外の判例など)に基づき陳述する予定だ。
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裁判後、都内で報告会が行われた。