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〈さくっと解説~知識の源Q&A〉レイシャルプロファイリングとは

2023年06月09日 09:00 社会

多様・複雑化する昨今の日本社会で、相互理解の前提となる知識や認識の積み重ねは、一層その必要性を増している。【企画】知識の源Q&Aでは「社会を知る~今週のnewsトピック~」(本紙毎週月曜日号)と関連して、今知っておきたい知識をQ&A形式で紹介する。

東京弁護士会が行ったレイシャルプロファイリングに関するアンケート

駅や街頭で、外国ルーツと思われる人が、警察から職務質問されている場面を見たことがあるだろうか。2022年、2094人を対象に行われたアンケートではおよそ6割が過去5年間で職務質問を受けたと答えており、そのうち約8割が見た目で判断されたことが明らかになっている。00年以降から問題視され、差別行為であるとの指摘がなされるレイシャルプロファイリングについて、問題点や事例をみてみたい。(参照=2021年度に外国ルーツをもつ人に対する職務質問に関するアンケート調査、東京弁護士会外国人の権利に関する委員会)

Q.レイシャルプロファイリングって何?

A.レイシャルプロファイリング(racial profiling)とは、人種や肌の色、民族、国籍など特定の属性を根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断する警察および法執行官の慣行を指す。近年、実態調査を通じ、その差別性が明るみになり「公権力による人種差別」(東京弁護士会・宮下萌弁護士)などとの指摘が相次ぐ。

Q.何が問題なの?

A.職務質問は、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある」等の場合に限り、「停止させて質問することができる」(警察官職務執行法2条1項)活動を意味する。つまりは警察官が「怪しい」と感じれば、相手の足を止めさせて質問できる権利だ。

しかしその権利は「停止」「質問」に限定されており、前提として「任意」であることから、応じたくない場合には協力を拒否することが可能。一方で、犯罪者とみなす「不審事由」の基準が、職務質問を行う警察官の主観に事実上大きく依るところがあるため、不当な職務質問を受けたという事例も多く、その主観的な判断プロセスに、警察官の偏見や差別が影響しているとの指摘がある。

Q.被害者はどれほどいるの?

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