三重同胞奮闘記⑧その魂、イベントに込める/金琴純
2024年08月20日 11:11 暮らし・活動8月11日、36度の炎天下で開催された第2回コリアンフェスティバル(以下コリフェス)は、気温を上回る熱気ムンムンのステージと四日市初中の運動場を埋める来場者で興奮に包まれた。
「昔からの行事を続けることが、トンポ社会やハッキョを守ることにつながる」(李春成県青商会幹事)
「去年の第1回コリフェスは『フォーラムマジック』で各地の青商会メンバーが来てくれた。でも本来は三重トンポを呼んで三重を盛り上げることが僕らの役割だから、今回は三重トンポにたくさん来てもらいたい」(韓泰豪幹事)
三重県青商会主催のコリフェスは子どもの時の記憶にある野遊会をイメージしながらも、四日市初中近隣の方々や共に支えあう日本の方々との相互理解を深めるために、昨年「七輪を囲み友好を囲む」と銘打ち、「みんな大好き焼肉」をメインに集客を狙ったイベントとして始まった。
「今回、開催に反対する幹事はいなかった。僕たちは日本に住むのだから日本の方々の協力や理解が得られないとウリハッキョもトンポ社会も生き残る術がないと思っている。コリフェスのようなカタチの交流が、この先きっと大事になる」(金哲奎会長)
とはいうものの食中毒や熱中症など、このタイミングでの開催に周囲の不安はぬぐえないまま準備をしてきた。新しい集客方法やちょうちん広告、売店の内容など昨年に比べると工夫が感じられる。各担当者たちは不安をよそにきっちり仕事をこなし、そこがなんだかとっても三重らしい。
開始時刻の16時を過ぎ夕暮れどきになると、暑すぎてテント内にしか座れなかった来場者が徐々に運動場に出てきた。帰省がてら顔をだした懐かしい人と笑顔で話すトンポや売店を終えてステージを楽しむニョメンの人たち、三重フォーラムのテーマ曲「IOMIE」を歌うhyogiと肩を組み、最後の民謡メドレーではいち早くオッケチュムを踊りだした他県から駆けつけた朝青員と三重朝青員。
今回、青商会は裏方に徹した本イベント。その役割は十分に果たしたのではないか。みんなで何かを成す姿を、次世代の子どもたちの目に記憶に焼き付けた。なんだかんだ言ってもトンポは集まりたいし、そのような場を求めている。気づけば「イオガジャ! 三重」と叫ばれることがなかったが、その魂は夏の思い出とともに決して消えることはない。
(「ウリ民族フォーラム2023in三重」と準備過程で活気を取り戻した三重同胞社会。フォーラム後も有志たちの奮闘は続いている。同フォーラム記録係を務めた金琴純さんがかれらの活動をレポートする。不定期掲載)