金剛山歌劇団2024年巡回公演/神奈川で開幕
2024年06月13日 14:02 文化・歴史50年の感謝伝え新たな「道」へ
金剛山歌劇団2024年アンサンブル公演「道(길)」の神奈川公演が11日、関内ホール(神奈川県横浜市)で行われた。2024年度歌劇団公演の記念すべき初舞台を、総聯中央の裵眞求副議長兼事務総局長、総聯神奈川県本部の高行秀委員長、金剛山歌劇団の金正守団長をはじめとする同胞と日本市民たち900人が観覧した。公演は、神奈川中高チャリティーコンサートとして行われた。
1955年に歌劇団の前身である「在日朝鮮中央芸術団」が創団され、74年に現在の金剛山歌劇団の名を受けて今年で50年。歌劇団は朝鮮芸術を美しく表現し、朝鮮楽器の澄んだ音色を同胞社会に響かせてきた。
今年のテーマは、「道~歩んできた50年、そして100年へと~」。歌劇団の尊い50年の歴史を同胞たちへの感謝と共に振り返り、100年へと続く新たな道へ希望の一歩を踏み出す決意が込められた。
神奈川で公演が開催されたのは約5年ぶり。開場時間前から、ホールの入り口には来場者の大行列ができ、足早に場内へと向かう来客の姿が多数みられた。
公演に先立ち、公演実行委員会のあいさつがあった。また、総聯横浜支部・中村分会、女性同盟川崎支部の代表らが、神奈川中高教育会の殷鍾浩会長へ寄付金を贈呈した。
公演は、第1部で5演目、第2部で7演目の計12演目が披露され、すべての演目がオーケストラの生演奏で彩られた。
祖国の風景を映した映像と共に、歌劇団のルーツである歌劇作品「金剛山の歌」の名曲が壮大なオーケストラで奏でられたオープニング「道」。同作を皮切りに、来場者たちの大きな拍手で幕を開けた公演では、女声重唱「りんごの木を植えました」、男声独唱「母よ」、舞踊「あの空の向こうへ」など、同胞や朝鮮人民が祖国を思う心情を表現した民族情緒あふれる演目がステージを飾った。
第2部では、舞踊「月灯りの下で」、チャンセナプ独奏「この世に羨むものはない」など、同胞たちに馴染み深い演目が披露されると、会場の雰囲気は高潮に達した。続く歌謡メドレーでは、朝鮮の歌にくわえ日本の歌も歌唱され、コミカルな動きが含まれた舞踊「朝鮮相撲」の上演中は観客席から朗らかな笑い声が飛び交った。フィナーレの民俗舞踊「農楽舞2024」が終わると、客席から歓声と拍手が沸き起こり、圧巻のパフォーマンスを披露した団員たちにわれんばかりの声援が送られた。
〝さすが歌劇団″
「芸術が好きだが、最近は予定が合わずあまり観られなかった。今日久しぶりに観て、『やっぱり歌劇団!』だと思った」。久々の歌劇団公演を堪能していた許芳子さん(76、女性同盟川崎支部・渡田分会)は、こう嬉しそうに語る。許さんと共に会場を訪れた李敬子さん(68、女性同盟川崎支部・中央分会)も「(舞踊『あの空の向こうへ』で)傍唱していた女性団員の声がすごく良かった」とニッコリ。近年、世代交代が進み、若手が団員の大半を占める中、許さんは「次世代中心のステージがすごくいい。『在日朝鮮中央芸術団』の時代から知っているが、こうして歌劇団が定期的に公演を見せてくれるとやっぱり力をもらう。そして何よりも応援したくなる」と興奮冷めやらぬ様子だった。
白宋煌さん(18)と宋知奈さん(18)は、留学同の仲間たちと共に会場を訪れた。「場内の盛り上がりが思っていた以上に大きく驚いた。久しぶりに朝鮮の芸術作品を直接見ることができて良かった」と話すのは白さん。一方、初級部から高級部まで舞踊部に所属した宋さんは「昔から公演がある年は毎年観に来ている。今日披露された演目の中には自分も練習したことのある作品があったが、歌劇団の舞踊手たちの動きは一つひとつが壮大で、歌劇団の凄さを改めて感じた」と話した。また、「高級部時代、祖国からウリハッキョの学生たちが躍る舞踊作品用のための曲を何度か送ってくれた。当時、私たちのために曲を作ってくれた、祖国の愛情を思い出した」と語った。
静岡県からきた姜大石さん(92)は、静岡県内で行われる歌劇団の公演を観覧したことはあったが、公演を見るために県外へ飛び出したのは初めてだという。姜さんは「歌劇団の舞台は普通の舞台とは違い、祖国や同胞を思う思想が込められている。公演を見ていると、組織のために働いた青春時代を思い出す」と話し、「歌はもちろん、舞踊のパフォーマンスに感嘆した。歌劇団の技術は格別だ」と笑顔で語った。
「すばらしい。どれも良くて1番を選べないわ」。この日、朝鮮の芸術に初めて触れたというロシア出身のナターリヤさん(50)。道というテーマが反映されたステージに感動し、公演中に泣いてしまったという。「自分たちの民族を大切にしているのは本当にすばらしいことだ」(ナターリヤさん)。パートナーの松村圭さん(55)も初の歌劇団公演に「すごくよく練習したのが伝わってきて感動した。生の迫力がすごい」と絶賛した。
(文・朴忠信、韓賢珠、写真・盧琴順)