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〈朝大専門家の深読み経済10〉現在の円相場をどう見るか(上)/卞栄成

2024年05月30日 09:13 寄稿

2005年に発足した在日本朝鮮社会科学者協会(社協)朝鮮大学校支部・経済経営研究部会は、十数年にわたって定期的に研究会を開いています。本欄では、研究会メンバーが報告した内容を中心に、日本経済や世界経済をめぐる諸問題について分析します。金融論を専攻する朝鮮大学校の卞栄成教授が、現在の円相場について(全2回)解説します。

昨今の日本経済をみると、円安の進行と定着というのが一つのキーワードになっている。4月29日、一時1ドル=160円台まで円安が進行したかと思えば、またすぐに値を戻すなど、円相場は急激な乱高下を繰り返している。日本経済の動向を把握することは、在日同胞企業経営において必須の問題である。その時々の歴史的現実から「問題をどう設定するか」が決定的に重要であるが、今回は円相場をめぐる諸問題について検討する。

経常収支と円相場

円相場に関して重要なのは、経常収支と円相場の関係を理解することである。周知のように、内外金利差(現在、日本の金利よりも欧米の金利が高い)によって円安が進行していることは多くの専門家が指摘している。

ここで確認しておくべきことは、為替相場が内外金利差だけではなく、経常収支の動向と関わっているという事実である。為替相場と関連する統計は、国際収支統計である。

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