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同胞の心が宿る国平寺

2024年05月30日 13:11 春・夏・秋・冬

お通夜に告別式、同胞行事。とくに関東地方在住の同胞たちは東京・国平寺に出向く機会があるだろう。親族のお骨を預けさせてもらっている筆者は、正月や秋夕、命日に定期的に訪れている。その度に国平寺にお世話になっている同胞たちの多さを実感する

▼尹碧巌住職の言葉を借りると、人は死んでも、その人を追憶し想い続ける人がいる限り人々の心の中で生き続け、「本当の死」は、このような人が全くいなくなったときに迎える。国平寺を開山した柳宗黙大禅師は「寺は亡くなった人の供養のためだけではなく、生きている人のためにもある」とし、在日同胞たちの心が宿る場としての国平寺のあり方について教えてくださったと、尹碧巌住職は話す

▼4年前に国平寺で営まれた朴聖守氏の77回忌を取材したことがある。朴氏は強制労働の末に1942年(享年40歳)に亡くなり、遺骨は栃木県のお寺に安置されていたが、「縁故者いまだ不明」で77回忌を機に国平寺に安置されることになった。国平寺は1965年に開山されて以来、身寄りのない同胞の遺骨を預かり供養。引き取り手が見つかれば故郷や遺族に返してきた。現在、無縁仏が少なからずあるという

▼国平寺ではいま、65年ぶりの瓦の葺き替え工事が行われている。昨年から「瓦志納」を募っており、多くの同胞がこれに協力している。協力者たちは心の拠り所である国平寺が末永く存続してほしいと口を揃えた。(姜)

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