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文化や価値観の格付け

2024年01月12日 09:00 取材ノート

紅白歌合戦に南朝鮮アーティストが多数出演したことを機に、「ソフト・パワー」という概念について改めて考えた。ソフト・パワーとは、軍事力や経済力など他国を強制し得るハード・パワーとは異なり、その国の文化や価値観を通じて支持や共感を得ることで他国を味方につける力を指す。世界有数のブランド評価会社は毎年ソフト・パワーの国家ランキングを発表しているが、近年上位20位に入っているのは、米欧諸国、南朝鮮や日本など西洋の文化や価値観を共有している国ばかりだ。

ソフト・パワーの源泉を成すポップカルチャーに関して言えば、前述のランキング上位国は自国のそれに米欧文化を深く取り入れてきた。そうして生まれたコンテンツが「世界最高峰」の音楽チャートや映画賞などで脚光を浴び、米欧のメディアを通じて広く普及。その結果、人々の関心の高まり、ソフト・パワーの向上へとつながっている。ちなみに、冒頭で述べたブランド評価会社は米欧企業から多くの資金援助を受けている。

非西洋識者によると、米欧市場や新自由主義的価値観に組み込まれた世界の各種格付けでは、非西洋国家に低い文化的数値が見積もられ、「悪い」国家イメージが付与されてきた。これらの点を鑑みると、ランキングの妥当性はおろか、ソフト・パワーの数値自体を正確に測ることができるのか疑問が湧く。

(徳)

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