連浦温室農場で収穫量アップ/完工から1年
2023年10月27日 08:00 経済液肥を節約し高コスパを実現
昨年10月10日の完工から1年が経った咸鏡南道の連浦温室農場ではこの1年間、季節を問わず白菜、キュウリ、トマト、トウガラシ、春菊、ほうれん草、ナスなどの野菜を栽培し、住民たちの食卓を豊かにしてきた。「初年度から高い生産実績を記録」(労働新聞)した同温室農場の増産への取り組みを紹介する。
スマート農業で肥培管理
朝鮮では近年、天候の影響を受けにくく栽培管理がしやすい温室農場が各地で建設されている。2019年12月に仲坪温室農場(咸鏡北道)が、22年10月に連浦温室農場が完工し、現在は平壌の江東郡で新たな温室農場が建設中だ。温室農場は今後、各道に建設される。
「世界屈指の大規模温室農場」(朝鮮中央通信)である連浦温室農場の敷地は280ヘクタール(東京ドーム約60個分)で、850余棟の温室と1千余世帯の住宅、学校、文化会館、総合サービス施設などがある。それまで国内最大級だった仲坪温室農場に比べて温室の数は2.5倍以上にのぼる。
連浦温室農場の場所には、東部前線の空軍基地であったが、国の重要な工業都市であり経済と科学技術発展に貢献している咸興市と咸鏡南道の人々に野菜を十分に供給すべく温室農場が建設された。
今年2月に初物の野菜が咸興市民に供給されて以降、ほぼ毎日数十トンの新鮮な野菜を収穫している。内陸高原地帯で寒さが厳しく野菜が不足していた長津郡や赴戦郡をはじめ、咸興市と咸鏡南道の各地に野菜を送っている。
この間、生産量が伸びている要因の一つは、温室の経営管理と科学化のレベルを向上させたことにある。
同農場の温室は温度や湿度、液体肥料の供給などが自動でコントロールされるスマート温室だ。液体肥料の供給所を通じて液体肥料の供給と換気、ミスト噴霧が自動的に行われている。
温室の担当従業員たちは、種をまいてから収穫までの肥培管理を徹底しており、増産のための栽培方法も随時取り入れている。
もう一つは、液体肥料の活用だ。
連浦温室農場の850余棟ある温室のうち約98%が水耕栽培用温室だ。土の代わりに水と液体肥料のみで作物を育てる水耕栽培は、連作障害や病害虫被害を防ぎ、省力的で生産性が高いなどのメリットがある。
興南肥料連合企業所が今年2月に数百トンの液体肥料を連浦温室農場に送るなど、関連部門の工場が液体肥料を提供している。
液体肥料の使用において連浦温室農場の従業員たちが着目したのは、液体肥料を節約しながら野菜をたくさん栽培し、コストパフォーマンスを上げることだった。
従業員たちは国家科学院の咸興分院や咸興化学工業大学などの科学者たちと共に、数カ月にかけて試験を繰り返した結果、キュウリ、トマト、ナスなどの果菜類の栽培に適した容器を利用すると、液体肥料を3~4割カットしながら、たくさんの野菜を栽培できることを実証した。
咸鏡南道では、咸興栄誉軍人樹脂日用品工場をはじめとする工場に専用容器の製造を依頼し、数十万個の容器を連浦温室農場に送った。容器で果菜類を栽培した結果、以前より液体肥料を節約しながら多くの野菜を収穫できるようになった。今後、この果菜類栽培用の容器は200棟以上の温室に全面導入される予定で、さらなるコスト削減と増産が期待できる。
6月からは仲坪温室農場との生産競争も始まり従業員たちの増産に向けたモチベーションも高まっている。白菜、キュウリ、トマト、トウガラシをはじめとする従来の栽培野菜のほかにも、新しい品種の栽培にも取り組んでいる。
穫れた野菜は地域住民にまんべんなく行き届くよう地域別供給計画に基づいて供給される。今年3月には金正恩総書記からトラックなどの輸送機材が贈られ、農場内の運搬はもちろん、地域への輸送もスムーズに行われている。
連浦よりも高い水準で
現在江東郡では、連浦温室農場よりも高度な技術を導入し、より発展した農場都市をコンセプトに建設が進んでいる。ここには数百棟の温室農場と住宅、公共施設などが建てられる。
9月末時点で、ビニールハウスの1.5倍の強度を持つ100余棟のトラスハウスの設置が終わり、塗装工事が進捗しているほか、1200余世帯の住宅の外装工事と屋根の工事が完了し、各施設の内装工事を最終段階で進めている。
全国各地に温室農場を建設するプロジェクトと並行して液体肥料生産工程の建設も進められており、今月4日には順川化学連合企業所に温室野菜栽培用の液体肥料を専門に生産する工場が竣工した。農村振興の新たな時代をリードする大規模な温室農場により住民たちの食卓はますます豊かになっている。
(安鈴姫)