〈戦時文学から見る朝鮮戦争 8〉3年間の戦時文学を振り返って
2023年10月21日 06:00 寄稿なぜ朝鮮人民は「戦士」となったのか
終わらぬ復讐戦
朝鮮では2010年から14年にかけて、祖国解放戦争主題の短編小説集(全4巻)が刊行された。第1巻『命令』には、戦時から1960年代中盤までの代表作が掲載されており、そこに李箕永の短編「復讐の記録」が収録されている。創作時期は1953年と記されているが、初出も不明であまり知られていない作品のようだ。本文に出てくる地名、日付、被害規模などから、米軍による平安南道の石巖貯水池(現在の見龍貯水池)の爆破(1953.5)をモチーフにした実話小説であることがわかる。