もしもの話／金潤実

ある日、同年代の友人と喫茶店でお茶をしていた時、ふとした話題から「金銭面もタイミングも何も気にせず、もしも今から大学に行けるなら（学び直せるなら）どの分野に行きたいか？」という話になり、その場で各々３つまで考えて理由も含めて発表しあうことになった。

考えてみたら、だいぶ迷う。大人になった今、改めて学び直すことを考えたことがなかったわけではないが、具体的な想像まではしたことがない。考えた末に自分自身でも興味深い答えに絞られた。

写真、児童文学、海洋生物、の３つ。それぞれ理由があり、今深めたいこと、自分の土台となっていること、畏怖の対象としての知的好奇心。

友人からの発表もとても面白かった。その人の知らない一面を少し知れた気がした。ぽっと思いつきで出た遊びだったが、思いのほか発見があり話が盛り上がって楽しかった。

こういった「もしも違う人生だったら」とか「こんな可能性もあるかも」を想像するのは、結構大事じゃないかと個人的に思っている。それは今を過度に賞賛するためでも、貶すためでもなく、むしろ過去や未来も含めた今を正しく見つめられるように、自分の枷を取り払って身軽にしてくれるような行為である気がする。

歴史と対峙する視点と一緒かもしれない。みなさんはもしも今から学び直すなら、どの分野に行きたいですか？

（大阪市在住、朝鮮学校美術講師）