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無辜の命奪う非人道性

2023年08月03日 09:00 取材ノート

米国によるウクライナへのクラスター爆弾供与が国際的な物議を醸している。クラスター爆弾とは、一つの親爆弾から数百個の子爆弾が飛び散る兵器で、殺傷力が高く不発弾が民間人に危害を及ぼす危険があることから国際的に使用が禁止されている。ウクライナの兵器入手によって最も被害を受けるのは、他でもない一般市民である。4年前に訪れたラオスでこのことを思い知らされた。

ベトナム戦争時、ラオスは中立国であったにもかかわらず、米国に北ベトナムの軍需物資の補給路とみなされ無差別空爆の標的となった。ラオスには米国が投下したクラスター爆弾の不発弾が約8千万発眠っており、不発弾による死傷者数は約5万人に及ぶ。筆者がラオスで立ち会った不発弾処理の現場で、処理班のスタッフは「被害者の多くは間違えて不発弾を拾ってしまった子どもたちだ」と口にしていた。(関連記事「在日発、地球行・第2弾 ラオス」①癒えぬ戦争の爪痕②代えがたい豊かさ

米国が過去に用いた兵器は、世界中の人々に癒えることのない痛みをもたらしている。イラク、ボスニア、ユーゴスラビア、アフガニスタンで使用された劣化ウラン兵器は住民たちに深刻な健康被害を与え、朝鮮でも朝鮮戦争時に米軍が投下した爆弾が今なお建設現場などで見つかっているように米国の不発弾が危険な状態で残っている。米国によるウクライナへの兵器供与は、自国の利益、覇権維持のためなら無辜の人々の生命など眼中にない、自らの非人道性を改めて露わにしている。

(徳)

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