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〈MBSラジオ差別発言〉社内に検証機関を設置

2023年07月22日 08:49 暮らし・活動

問われる日本メディアの知見

今年2月、MBSラジオ(大阪市)の生放送番組で、レギュラー出演していたコメンテーターが「(朝鮮学校は)スパイ養成的なところ」などと差別および差別扇動にあたる発言をしていた問題と関連し、同社が再発防止策として「番組向上委員会」を設置した。今月設置された同委員会は、各番組が適切な表現で放送されているかについて、その内容を定期的に検証する内部機関となる。7月4日には、同社幹部と在日本朝鮮人人権協会の地方組織である、大阪人権協会・兵庫人権協会・京都協議体の代表らとの間で面談が行われ、委員会設置の詳細について説明があった。

社によると、コンプライアンス担当の役員など12人で構成される同委員会は、今後2カ月に1回のペースで開催され、番組内容の検証を兼ねた議論を行うという。差別および差別扇動発言のあった情報番組「上泉雄一のええなぁ!」も議論の対象に含める。また、同社は5月23日付で「コンプライアンス憲章」も策定した。

面談に参加した大阪人権協会の文時弘事務局長は、番組中の当該発言について、MBS側が「『ヘイトではなく論評であった』とする当初の見解を維持した」と苦言を呈しながらも、「この間、社の幹部が朝鮮学校を数度にわたり直接訪問し、当事者と面談を重ねるなど、問題と向き合う姿勢を示してきた中で、今回の再発防止策等の策定に至ったのは意義のあること」だと評価した。

そのうえで文事務局長は「新たに制定された『コンプライアンス憲章」』や『番組向上委員会』が空念仏・ハリボテにならないよう、これをもって『終わり』ではなく、『始まり』として息を吹き込んでいく必要がある」と言及。同社に限らず、日本のメディア全般で問われる問題として、「在日朝鮮人や朝鮮学校のみならず、社会的弱者・マイノリティに関する知見を深め、最低限の知識と情報を共有し、その立場を理解することが不可欠だ」と強調した。この問題を巡っては、同社は当初、発言当事者を擁護していたが、人権協会や朝鮮学校の保護者など当事者らの働きかけもあり、今年4月時点で、メディアとしての想像力や朝鮮学校、民族教育に対する理解が致命的に欠けていたこと認め、今後再発防止に取り組むと明言していた。

(韓賢珠)

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