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〈MBSラジオ差別発言〉ヘイトの土壌問う必要性

2023年04月11日 09:00 権利 社会

申し立ての経緯

事態が明るみになって以降、人権協会では、経過報告を交えながら差別発言の問題性を発信してきた

大阪MBSラジオ(毎日放送)の番組出演者が、2月21日の当該番組放送中に、「(朝鮮学校は)スパイ養成的なところ」などと差別発言を行った。その後、在日本朝鮮人人権協会や朝鮮学校の保護者などMBSラジオに対する当事者らの約1ヵ月におよぶ働きかけが続き、当初、面談要請を拒否していたMBS側は、局に対する非難の世論も相まって、逆に面談を提案し、3月24日に常務取締役など役員4人と人権協会代表4人、大阪オモニ会代表など11人の計15人が面談を実施。同31日にはMBSラジオの役員2人が大阪人権協会の事務所を訪ね、改めて、メディアとしての想像力や朝鮮学校、民族教育に対する理解が致命的に欠けていたこと認め、「知見を深める努力」として、今後再発防止に取り組むと明言した。

しかしMBS側は、依然として、当該発言は「ヘイトスピーチにはあたらず論評である」との見解を撤回していない。こうした状況を受け、人権協会傘下の関西3団体(大阪人権協会・兵庫人権協会・京都協議体)は3月31日付で、「MBSラジオに限らず、今後マスメディア全般において同様の事態が発生」しないよう放送倫理・番組向上機構(BPO)に対し人権侵害申し立てを行った。

4月1日に提出された申立書では、「在日朝鮮人に対する猜疑心や攻撃的な思考を一層固着化させる」当該発言および一連のMBS側の対応は、容認できるものではなく、ヘイトクライムが相次ぐ社会状況下において、それらを誘因する危険性があると主張。MBSに対し、▼当該発言を在日朝鮮人へのヘイトスピーチであると認めること、▼放送内容について改めて謝罪すること、▼反差別の立場を明確にしたステートメントを公表すること、▼再発防止措置としての継続・定期的な社員教育、▼番組構成における政治的公平性の確保―を求めた。

一方、申立書とともにBPOへ提出された龍谷大学・金尚均教授の意見書では、当該発言が「第一義的に、全国の学校法人をもつ朝鮮学校に対する名誉毀損」であると述べた。そして「日本社会における朝鮮民主主義人民共和国を敵視する雰囲気がある中、朝鮮民主主義人民共和国-朝鮮総連-朝鮮学校を十把一絡げに扱って、特に日本にある朝鮮や朝鮮学校を誹謗中傷することにより、在日朝鮮人、特に朝鮮学校への生徒に対する攻撃の危険を生じさせている」と指摘。その意味で、発言は「正当な論評として法的に許容されるものではなく(中略)その効果としてヘイトスピーチというべき」だと断罪した。

核心を捉えるには

差別発言のあった番組HPには現在「お詫び」が掲載されている。

問題の核心を捉えるうえで、重要な視点は何か。大阪人権協会の文時弘事務局長は「MBSラジオに限らず、『朝鮮に対しては何を言ってもいい』というような日本のメディア全般、ひいては日本社会の状況についてきちんと考える必要がある」としながら、

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