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【連載】光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~⑤

2023年06月15日 12:20 歴史

 

ハンセン病に関する企画展の一部

【連載】「光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~」では、創作を通じ希望や連帯を希求し、抵抗としての文学活動を展開した朝鮮人元患者らの詩を復刊した詩集「いのちの芽」から紹介していく。(書き手の名前は詩集に掲載された日本名表示のママ)

国本昭夫 1926年・朝鮮全羅南道生まれ。4歳の時に日本へ渡り、41年に多磨全生園に入園。43年に故郷に戻るが、その後再入園。50年に詩誌「灯泥」創刊。

白い脚

星がおちた。

私のベッドが がしっと鳴った。

 

狂女の笑い声が

私の耳から遠ざかってゆく。

 

私の血は

曠野の中で凝固してゆくのです。

 

私の右腕は泥沼に落ちてゆくのです。

 

肋骨は我無者羅に火を噴くのです。

 

ガッガッと死にいそぐ風車がまわるのです。

 

海に冷却した二本のレールがある。

星は海面に凍りついてうごかないのです。

 

海の向うのふるさとには

老婆の祈りがある

(母よ、再びかえらぬ歳月を想うように私を想わないでください。)

 

点々と

点々と

天上に 星が瞬く

もう 何も見えません

誰です? そこで灯をさげて立っているのは。

 

地がゆらゆらとゆれた。

彼女は瞳を閉じている。

 

雲の中を浸透する 白い脚。

貝殻の中の「夢」

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