大切な居場所／李大美

福岡・筑豊地域の朝青で活動していた頃はとにかく必死だった。学校がなくなり、同胞が集まる機会が減ってしまった地域での活動には、試行錯誤が必要だった。日本の友人たちとのチャンダンサークルや祖国訪問など、色んな行事を企画し、たくさんの人に出会った。

そうした6年間を経て、かけがえのない仲間ができた。人はひとりでは生きられない。誰かと関わり、交わり生きている。だから、集まる場、行きたい場、自分を迎えてくれる場があることは、何よりも大事なことだ。

私にとって「筑豊」がまさにそうである。朝青時代に地域を盛り上げるため、「繋がる（ribbon）」、「生まれる（reborn）」との意味を込め、「筑豊リボンプロジェクト」という会を立ち上げた。コロナ禍もあり、活動がうまく進まないこともあったが、今も細々と続いている。

その中で、肩書きがなくても活動し続けることの大切さを、運動の先輩たちに教わった。誰かにほめてもらうためではなく、在日朝鮮人の権利擁護、朝・日友好のために、草の根の運動を続ける姿は衝撃的だった。

先輩たちが何十年かけて守ってきた歴史の上に、私は立っている。朝青筑豊支部非専任委員長の職はすでに終えたが、私が私でいられる居場所を守るために、地域の同胞、日本の友人たちとともにこれからも活動を楽しみたい。

（福岡県在住、筑豊リボンプロジェクトメンバー）