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〈朝大専門家の深読み経済2〉日本企業の金融化とは?/卞栄成

2023年05月12日 15:01 寄稿

2005年に発足した在日本朝鮮社会科学者協会(社協)朝鮮大学校支部・経済経営研究部会は、十数年にわたって定期的に研究会を開いています。本欄では、研究会メンバーが報告した内容を中心に、日本経済や世界経済をめぐる諸問題について月1回解説します。今回は、金融論を専攻する朝鮮大学校経営学部副学部長の卞栄成教授が、日本経済の現状について(全3回)の2回目、日本企業の金融化について分析します。

前回(4月17日付)は、経済の金融化とは何かについて述べたが、今回は企業の金融化という視点から日本経済について考えてみたい。企業の金融化とは、企業収益のなかで金融収益の占める割合が増加する現象である。実際に、法人企業の経常利益が営業利益を超えて増加している。営業利益は本業で稼ぐ収益をあらわしており、経常利益は営業利益と営業外収支を合わせたものである。営業外収益の多くは、配当金や利息、有価証券売却益(売買目的)等の金融収益である。

2021年度の法人企業(金融業、保険業を除く)の営業利益は54兆2156億円、経常利益は83兆9247億円で推移し、コロナ危機にもかかわらず経常利益は過去最高となった。営業利益と経常利益の差額は過去最高の29兆7091億円となり、経常利益の増加が目立っている(【図表】参照)。

法人企業の営業利益と経常利益の推移(財務省「法人企業統計」より作成)

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