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“ウリハッキョはスペシャル”/ラグビー・李承信の講演会

2022年12月21日 12:04 スポーツ

講演会は京都府青商会の朱琪岩副会長の司会のもと進められた

10日に行われた特別講演会「未だ見ぬ世界の扉を開け!-朝高から世界へ-」(主催=京都府青商会)は、同青商会の朱琪岩副会長の司会のもと進められた。

ラグビー一家の末っ子で生まれた李承信選手は物心ついたときから楕円球に触れていた。その頃から将来の夢は「ラグビー選手」になること。初級部時代はサッカー部に所属するかたわら、地元のラグビースクールに通った。中3の時には全国ジュニア・ラグビーフットボール大会に兵庫県スクール選抜の主将として出場し、チームを優勝に導いた。

進学を控えて、数々の高校ラグビーの強豪校から推薦が届くなか、選んだのは大阪朝高だった。「自分のルーツを大切にしたい思いと、大阪朝高ラグビー部で『花園』に出場することに価値を感じた」(李選手)。こうして大阪朝高ラグビー部で過ごした3年間は「在日朝鮮人としてのルーツを知り、アイデンティティが確立され、人間的に大きく成長できた」。

李承信選手

李選手は他校にない大阪朝高の強みをこう語る。「自分たちが何のためにラグビーを、誰のために生きていくのかが、朝高生には信念として明確にある」。

高校日本代表、ジュニア・ジャパンの一員として、世界を経験した李選手は自身のスキルアップを図るため、大学を中退し、ラグビーの本場、ニュージーランドに留学することを決意した。しかし、コロナ禍によって海外渡航の道は頓挫。コロナ禍でラグビーができる環境がない李選手に救いの手を差し伸べたのが、幼少期に通っていたラグビースクールの元コーチで、現在、李選手が所属するコベルコ神戸スティーラーズのチームディレクターだった。実力を評価された李選手は20年に同チームに入団した。

講演会のようす

そして今年、朝鮮学校卒業生として史上初めて15人制ラグビーの日本代表(トップチーム)に選出され、鮮烈な代表デビューを飾った。李選手は「日本でラグビーを始め、同胞たちはもちろんのこと日本の方々に支えられてこれまで育ってきた」と、自身を支えてくれた人々のためにという思いで日本代表を目指してきたという。来年フランスで行われるラグビーW杯に出場することは「大きな目標だ」とも語った。

李選手は民族教育を通じて確立された在日朝鮮人としてのアイデンティティは、現在も自身の信念となってプレーにつながっているとしながら、こう述べた。

「ウリハッキョはスペシャルな存在。世界中どこにもない民族性と歴史をもっている。人生にゴールはない。アイデンティティをより確立し、実現することが自分や周囲の人々が幸せになる。(自身の)姿を通じて、在日同胞たちに夢や勇気を、後輩たちに可能性を示していきたい」

講演に夢中な朝高生たち

この日の講演会には京都中高サッカー部、大阪朝高ラグビー部の選手たちが招待された。

(文・全基一、写真・盧琴順)

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