都人権部、朝鮮人虐殺は「史実」と答弁/矛盾する対応、飯山由貴さんの作品上映と関連して


上映禁じられた朝鮮人虐殺を扱う映像

「In-Mates」スチル(撮影:金川晋吾)

関東大震災の朝鮮人虐殺に触れたことなどを理由に、東京都が映像作品の上映を不許可にした問題と関連し、都議員や芸術関係者、学者など各界から非難の声があがっている。

不許可対象となったのは、アーティストの飯山由貴さんが手掛けた映像作品「In-Mates」だ。戦前、東京の精神科病院に入院していた朝鮮人患者らの診療記録から、朝鮮半島にルーツのあるラッパー・FUNIさんが創作した詩とパフォーマンスを通じて、かれらの心の葛藤を表現した同作。作中では、「朝鮮人患者たちにとって、当時の東京がどのような場所であったのかを観客に想像してもら」おうと、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件についても扱った。

作品は当初、今日30日まで、東京都人権プラザ(都指定管理施設)で開催中の飯山氏による企画展「あなたの本当の家を探しにいく」の付帯事業として上映が企画されていた。しかし、作中で、歴史学者が関東大震災時の朝鮮人虐殺と関連し「日本人が朝鮮人を殺したのは事実」と発言するシーンを問題視し、「都ではこの歴史認識について言及をしていない」などと不許可理由を説明。結果、東京都総務局人権部より上映が禁止となった。

10月28日に行われた会見

今年5月12日付で都人権部より、都人権プラザを運営する⼈権啓発センター普及啓発課宛てに送られたメールには、毎年9月1日に行われる関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に際し、歴代都知事らが送ってきた追悼文の送付を、2017年から引き続き拒否する小池百合子都知事に関する記事が参照され、「都知事がこうした立場をとっているにも関わらず、朝鮮人虐殺を『事実』と発言する動画を使用する事に懸念がある」と明記されていた。一方、作品は2年前にも、国際交流基⾦が主催するオンライン展覧会で、主催者判断による上映中止にあっている。

これと関連し11月2日に東京藝術大学でオンライン上映会とシンポジウムが、同22日には議員向けの作品上映会が都議会であった。上映会に参加した五十嵐えり都議は、自身のSNSで、東京都が発行した東京百年史(第4巻)にある文章を引用しながら、このようにコメントしている。

「『鮮人暴動の流言がひろがると、…自警団と称して鮮人を迫害した…。内務省警保局の調査によると、殺戮された朝鮮人231人、中国人3人、日本人59人だがこの数字は警察署に届けられたもののみで実際は、この数十倍』これが歴史認識のはずで追悼文不送付をもっても小池都政で否定することは出来ない」

さらに朝鮮人虐殺の歴史的事実を、都知事の立場と異なるとして懸念を示し、上映禁止に追いこんだことについて「都知事の行為が職員の忖度と歴史修正と差別を招いた」と強く非難した。

上映が禁止されて以降、飯山氏など作品関係者らは、都人権部による一連の対応が「都知事への忖度であり、都政による在日コリアンへのレイシズム、民族差別に他ならない」として、東京都に対し、謝罪と作品上映を求めて抗議の声をあげ続けている。

署名はインターネット上の署名サイト「change.org」を通じて呼びかけられている。

一方の都側は、10月28日に飯山氏らが行った会見以降も、依然として無視を決め込んでいるが、東京都が本件の説明として、記者クラブなど向けに資料を配布したことが明らかになっている。またこの問題と関連し飯山氏らが行っているネット署名には、11月30日時点で、2万9千485人が賛同している。

今日午後に行われた都議会総務委員会で、五十嵐都議からの質問に答えた吉村幸子人権部長は、5月12日付のメールについて「担当者が、あくまで担当した限りのものとして、疑問点を確認する目的で送付したもの。わかりやすい発言を用いるべきだった」と弁明する一方で、関東大震災時の朝鮮人虐殺は「史実として教科書や中央防災会議の報告書にも掲載されているものと認識している」と答えた。

都が「史実として認識」する関東大震災時の朝鮮人虐殺を扱った作品、そしてこの上映を禁じた都人権部の対応。東京都はこの矛盾を解消する責務があるだろう。

(韓賢珠)