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伏線の回収

2022年11月22日 06:30 論説・コラム 春・夏・秋・冬

反北ビラ散布に対する処罰規定を盛り込んだ「禁止法」は表現の自由を侵害し「違憲」であるという趣旨の意見書を憲法裁判所に提出した統一部長官の辞任を求める声が上がっている。春夏秋冬

▼尹錫悦政権発足後、大統領側近が長官を務める政府機関は、同族対決と外勢追従を続けるための環境づくりに余念がない。外交部は8月、強制徴用被害者に対する賠償のために日本の戦犯企業の資産を売却するのを止めようと最高裁判所に意見書を提出した。「政府が外交努力を傾けている点を考慮」しろと圧力をかけた。

▼反北ピラ散布は北南関係を悪化させる。2020年6月には脱北者団体のピラ散布が端緒となり、北南共同連絡事務所が爆破された。「対北ビラ禁止法」は同年12月、南の国会で議決され昨年3月から施行されている。統一部長官の辞任を求める市民団体は、「ビラ散布は冷戦期から続く心理戦」であり、「禁止法をなくすことは南北共同宣言を破棄し、南北間の軍事衝突を助長する行為」だと主張している。

▼しかし民族反逆者は気にしない。戦犯企業の資産売却阻止は、尹錫悦大統領と岸田首相の首脳会談を実現させるための伏線であった。「対北ビラ禁止法」が「違憲」だという伏線は何のために敷いたのか。市民団体は、「いつでもビラを散布できるようにするということは、尹錫悦政権が直面する危機を乗り切るために南北の軍事的、政治的対決を極限まで激化させる策術」だと警鐘を鳴らしている。(永)

 

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