〈現場への「入口」・1〉記憶の残るソンセンニムに/九州中高
2022年11月14日 09:07 民族教育外国語学部で言語学(英語)を専攻している許大成さん(4年)が実習に向かったのは、母校である九州中高だった。通い慣れた学び舎、懐かしい先生や後輩たちの顔ぶれ。しかしそれらに浸る間もなく、実習の日々は目まぐるしく過ぎていった。
昨年4月に創立65周年を迎えた同校では、九州同胞社会のより一層の活性化に向けた学校教育に、特段力を入れている。教務部長の洪瑛喆教員は「実習を通して、将来、地域同胞社会で活躍する人材に育つための力を付けてほしい」という思いで許さんを受け入れたと話す。
高級部1年を担当する許さんはこの期間、4回の英語授業を任された。朝8時半からの会議にはじまり、ホームルーム、授業、掃除、放課後の模擬授業まで、毎日濃密なスケジュールをこなさねばならない。
実習8日目となる10月18日、初めての授業を控えた許さんは緊張した顔つきだった。「教員らしく振舞えるか、スムーズに進行できるか、生徒の回答をしっかり拾えるか…。不安でいっぱいだ」。大学で授業案の作成や模擬授業などを事前に行ってきたが「いくら準備しても足りないような気持ちになる」と率直な気持ちを吐露した。
しかし、そんな姿とは打って変わって、許さんはテンポよく授業を進め、教室内では終始笑いが飛び交った。事前に準備した自己紹介やゲームなどは好評で、パワーポイントやプリントを使いながら授業内容を丁寧に伝えた。その姿を教室の後ろで見守る「先輩教員」たちも笑みを浮かべていた。
午後19時に始まった模擬授業では、授業に対する評価と課題についても話された。