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〈金剛山歌劇団〉主要キャストに聞く、公演にかける思いと見どころ/金成大さん(2)

2022年10月29日 08:00 文化

同世代に影響与えたい

2020年から始まったコロナ禍のなか、公演を通じて各地の同胞や日本の市民たちを勇気づけ、芸術文化の持つ力を内外に知らしめてきた金剛山歌劇団。ステージを彩る主要キャストたちに、公演にかける思いと見どころを聞いた。(文・韓賢珠、写真・盧琴順)

男声2重唱「雲に身を乗せ」のステージに立つ金成大さん(右)

入団6年目の金成大さん(29)は、今年度の巡回公演で男声重唱や混声重唱など3作品に出演する。近年、コロナ禍のなかで送った団員生活は、練習環境や公演数が制限されたが、「その一つひとつが何よりもありがたく、自分たちの活動に対する誇りを改めて感じることができた」と、感謝の思いを語る。

現在、金剛山歌劇団には、10代から20代までの朝青世代が26人、そのほか30代まで含めると若手が全体の半数以上を占めており、自分たちが担う役割の重みを痛感する日々だと金さんはいう。

「例えば若い同胞たちや日本の方々が観たら、歌劇団公演はどう映るんだろうか、と思うときがある。コアなファンの方々は伝統を好み、触れたいと思いやってきてくれるが、自分たちは、それを継承しながら、新たな層を引き付ける発信にも努めなくてはならないと思っている。しいていえば、各地で奮闘する同世代の朝青員たちに影響を与える存在になりたい」。

この言葉には、今年からか歌劇団で朝青委員長の重責も担う金さんの、とある思いが影響していた。朝青の専従活動家として地元・京都で1年を送った後、2017年に入団した金さん。入団当初、「自分は歌劇団という場所で専任活動家をしていることを常に忘れずにいたいと思う」と語っていたが、それから5年が経過し、朝青委員長という役割を任されたとき、この思いを後輩の団員たちに伝え、共有していきたいと強く思ったという。

「ステージに立ちながら毎回思うのは、歌劇団は、同胞社会や同胞たちのためにならなくてはいけないということ。自分たちが作品を通じて同胞社会やハッキョについて歌っても、目の前の課題を解決する実質の助けにはなれない。けれど、例えば歌を通じて届ける『ウリハッキョを守ろう』というフレーズが、いま守っている人たちをはじめたくさんの同胞たちの心のなかにねむる『ハッキョ』への思いを引き出せたら、それこそ歌劇団が同胞社会で役割を果たしていると言えるのではないだろうか」(金さん)

巡回公演のテーマ「あの空へ」について、「自分が担当するステージでは、コロナによってたくさんの制限があるなか、会いたい人や行きたい場所などを連想させるような表現ができたら」と語気を強める金さん。かれがより良いものを追求する先にはいつも、同胞社会、そして同胞たちがいる。

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