大多数の無関心層へ、知る機会を/京都「火曜アクション」


道行く人々に声をかけ、熱心に話しかける参加者たち

「日本政府は、民族教育に対する新たな差別政策を積み重ねています。私たちはこのような問題について、多くの方々が関心を持ち、反対の声を共にあげることで、社会に蔓延している朝鮮学校への偏見や差別をなくすことにつながると思っています」

多くの人々が行き交う京都の繁華街、四条河原町。26日の夜、その一角で同胞青年たちの声が鳴り響いていた。

声の主は、「朝鮮学校への『高校無償化』『幼保無償化』適用を求める火曜アクションin京都」(以下、「火曜アクション」)に参加した朝青や留学同のメンバー。この日、135回目となる「火曜アクション」が四条河原町交差点付近で行われた。参加者たちは、忙しそうに通り過ぎるばかりの道行く人々に、マイクを持ちアピールしたり、リーフレットやポケットティッシュを配ったりと、「朝鮮学校の今」を知らせようと懸命に動き回っていた。

26日に行われた「火曜アクション」

約1時間にわたるアクションの最中、元気な声で通行人に話しかける参加者の横で、何か躊躇するような様子で立っていた学生がいた。「一人でも多くの方に朝鮮学校の状況を知ってほし」くて、アクションに参加したという南侑希さん(20)は京都中高を卒業し、現在は、京都産業大学に通っている。

先ほどの様子が気がかりだったため尋ねたところ、「リーフレットを配っているときに、たまたま通りかかった大学の友人から何をしているの?ボランティア活動?と聞かれて」と南さん。その時、なぜか不安な気持ちになり、「今はまだ生きづらい社会なんだと実感した」と打ち明けてくれた。

「最近はよく多文化共生と言うが、日本では多文化に触れる機会がそもそも少ない。朝鮮学校や在日朝鮮人の存在を知らないのは、その象徴だと思う」。南さんはそう語りながら「知る機会をつくるためにも、発信し続けたい」と語った。

見て感じたこと伝えたい

「火曜アクション」の現場には、京都中高の教員たちの姿もあった。新型コロナ感染の拡大により、約1年半ものあいだ中断されていた「火曜アクション」に、今後生徒たちと一緒に積極的に参加しようという思いから、「まずは教員たちが参加してその意義を生徒たちに伝えよう」と思ったと、同校高級部2年生の学年主任を務める柳学喆さんはいう。

マイクを手にアピールする同胞青年

初中級部時代は大阪府内の朝鮮学校に通い、その後日本の高校と大学で学んだ柳さん。大学時代の留学同活動がきっかけで、朝鮮学校の教員になったという異色の経歴をもつかれの呼びかけで、この日のアクションには同校の教員たち5人が参加した。

柳さんは、「在特会みたいな人もいるが、京都には『こっぽんおり』(支援団体「朝鮮学校と民族教育の発展を目指す会・京滋」)に参加されるような方々もいる。しかし大多数の日本の人々は、何も知らない白紙状態だ」と述べたうえで、「ヘイト反対はわかりやすくて規制が必要だとなるけど、全体を見れば無関心が一番多いし、一番怖い。そこにコツコツ働きかけることがとても大切だ」と強調した。

昨年4月から京都中高美術部の講師を務めながら、生徒たちの心のケアをサポートしているホッジ・クリスティーナ紀子さん(28)も、「火曜アクション」に熱心に参加していた。

道行く人々に声をかけ、熱心に話しかける参加者たち

京都で生まれ育った紀子さんが、朝鮮学校に携わるきっかけとなったのは、「こっぽんおり」がプロジェクトオーナーとなって展開したクラウドファンディングの時だ。当時、京都・ウトロ地区で、精神疾患を患う人々の居場所づくりをする施設に勤めていた紀子さん。そこで、「コロナ禍で学校運営する京都・滋賀の朝鮮学校を応援しよう!~教室に冷房を設置してこどもたちに快適な学習環境を~」をスローガンに展開されるクラウドファンディングの知らせを聞いた。「署名を集めるなかで、朝鮮学校に通う子どもたちの心のケアを担当できる人を探しているという話を聞いて、携わりたいと思った」。

「私のルーツは日本以外に欧米もあって、一方で周りには、幼いころから朝鮮半島にルーツを持つ友人やクラスメートがいた。そういう共通性からか、地域の公立学校に通っていた当時、担任の先生が、東九条マダンのチラシをみせながら『絶対に行きなさい』と勧めてくれたことがあって。朝鮮学校でボランティアを募集していると聞いた時、小さい頃から漠然と見聞きしてきたものが、つながった気がした」(紀子さん)

26日に行われた「火曜アクション」

京都中高の生徒たちや教員たちと触れ合うなかで、自分にできることは何かを模索し続けているという紀子さん。「火曜アクション」への参加もその一環だと話すかのじょは、日本社会にある問題点を見つめ、「今の自分ができること」をキッパリとこう語った。

「当初、自分が朝鮮学校と関わりたいと話したら、周囲の人々から根も葉もない憶測などを並び立てられて反対された経験がある。この言葉を子どもたちが聞いたらどれほど傷つくだろうと。あからさまなヘイトスピーチやヘイトクライムじゃなくても、マイクロアグレッション*¹といわれる、小さくてもそれが積み重なっていくと大きな傷を与えることがある。そのような偏見や憶測によって、子どもたちは、それだけで自分が仲間外れにされているような気持ちになってしまうと思ったし、当時、私自身も、偏見に満ちた周囲の反応にすごく悲しくなった。自分は朝鮮半島にルーツがあるわけではないけど、朝鮮学校と関わって、自分の目でみたこと、感じたことを、憶測で話している人たちにいつかちゃんと伝えたい」(紀子さん)

(韓賢珠)

*¹マイクロアグレッション

小さい単位を表す「マイクロ」と他者への攻撃という意味を持つ「アグレッション」を組み合わせた言葉。意図的か否かにかかわらず、何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下し、侮辱、否定的な態度をさす。

在日朝鮮人と関連しては、「日本語うまいね」「いつ日本にきたの」「日本人と変わらないよ」など、不確かな歴史認識やステレオタイプが生む偏見が原因となったマイクロアグレッションがある。他方で、「マイクロ」という表現を用いることで、「アグレッション」(攻撃)の有害性が矮小化されやすいとの指摘もある。