核武力強化の背景と目的 ③ 「軍事的対決なら消滅」は虚言ではない
2022年06月13日 08:11 軍事2022年4月の閲兵式が誇示した力の実体
金正恩時代の最初の10年間で朝米核対決の構図は様変わりした。 2022年4月の閲兵式は、米国を圧倒する朝鮮の力の実体を確認させるものであった。
独自開発された兵器システム
4.25閲兵式演説では、増強された自衛力に基づく確信に満ちた宣言が飛び出した。金正恩総書記は今、我々の武力はどのような戦いにも万端に備えている、いかなる勢力でも朝鮮民主主義人民共和国との軍事的対決を企てれば、彼らは消滅するだろうと述べた。
世界を震撼させた若きリーダー初の肉声演説、2012年4月の閲兵式演説に軍事技術的優勢はもはや帝国主義者たちの独占物ではなく、敵が原子爆弾で我々を脅迫恐喝する時代は永遠に過ぎ去ったという一節があった。
あれから10年、優劣関係の逆転はより鮮明になった。今、朝鮮は「国家の軍事技術的強勢」、「革命武力の絶対的優勢性」について堂々と公言している。
その間に「火星」系列の中距離および大陸間弾道ミサイル(ICBM)と「北極星」系列の水中および地上発射弾道ミサイルが朝鮮の特有の作戦的要求に沿って開発生産され核技術が高度化された。核兵器の小型軽量化・規格化・戦術兵器化が進み、超大型水素爆弾もすでに完成している。
今年1月には極超音速ミサイル、3月には核弾頭の威力と弾頭操縦能力が向上した大型ICBM「火星砲-17」型、4月には戦術核の運営において重要な意義を有する戦術誘導兵器の試射に成功した。
金正恩時代に朝鮮の国防工業は「見本模倣型」から「開発創造型」の工業への転換が完全に成し遂げられた。国防科学者・技術者たちは、朝鮮半島とその周辺の地理的条件と朝鮮人民軍の作戦構想に基づいて戦略及び戦術兵器システムを開発している。
近年、メディア報道を通じてその完成度が確認された最新兵器、例えば世界の兵器分野でその概念すらなかった超強力多連発攻撃兵器である超大型放射砲、迎撃が困難で通常弾頭威力が世界を圧倒する新型戦術ミサイルや中長距離巡航ミサイルをはじめとする核戦術兵器にも、やはり朝鮮特有の作戦的使命が与えられている。
米国の核武力は他国を脅かし侵攻するための手段だ。一方、朝鮮の核武力は何よりも朝鮮半島とその周辺に存在する軍事的脅威を抑制し、戦争を防止する力であり、敵の侵略と攻撃を撃退して報復打撃を加えるための手段である。
武力の所有者は人民と軍隊
2022年4月の閲兵式ではもう一つの使命も明らかにされた。いかなる勢力でも国家の根本利益を侵奪しようとすれば、朝鮮の核武力は意外な二つ目の使命を決行する。朝鮮の核武力が過去と比べて一段と高度化された時点でこのような新たな断が表明されたのは偶然ではないだろう。
閲兵式に登場した様々な種類の戦略および戦術核兵器は、朝鮮に反対する軍事的行動を企てる敵を領土外で消滅するための打撃手段であり、核の威嚇を含むすべての危険な挑発行動を必要なら先制的、徹底的に制圧粉砕する力だ。
あの日、威風堂々と行進する閲兵隊は、朝鮮に対する核先制攻撃を公言する敵対勢力の軍事的虚勢を余すところなく暴露したといえる。
朝鮮が誇示したのは、独自開発された最先端兵器によって証明される軍事技術的強勢だけではなかった。
武力の主体は、装備ではなく人間だ。
朝鮮人民軍は祖国防衛の崇高な使命を担い、どのような戦争と危機にも躊躇なく対応する勇気と能力、自信にあふれている。米国の覇権主義政策を遂行するために動員される軍隊にはないものだ。
朝鮮は革命武力の質的優勢をしっかりと維持強化することに目的を定め、軍隊の政治思想的準備のレベルを不断に引き上げるための対策を講じている。
兵士だけではない。閲兵隊の末尾に登場したICBM「火星砲-17」型を見て歓呼する人民は、国家が推進する自衛的国防路線の熱烈な支持者であり、尊厳と平和のための対決戦を担う堂々たる主人だ。
朝鮮は史上類のない強国
90年前の1932年4月、朝鮮の最高峰・白頭山の樹林の中で人民の息子・娘たちによって朝鮮初の真なる武力が誕生した。
金日成主席による朝鮮人民革命軍創建の重大な意味は、わが民族の尊厳と自主権を傷つけようとする相手とは最後まで武力によって決着をつけるという確固たる反帝国主義・革命思想、主体的な力によって必ずや人民の自由解放と革命の勝利を成し遂げようとする朝鮮革命家たちの不屈の意志を内外に示したことにある。 2022年4月の閲兵式で特に強調された主題である。
朝鮮では、白頭山にルーツを置く思想と精神のバトンを受け継いだ軍隊と人民が、尊厳と平和のための最強兵器を持っている。彼らは、いかなる勢力も朝鮮との軍事的対決を企てるならば消滅するという金正恩総書記の宣言が決して虚言でないことを誰よりもよく知っている。
これこそ歴史に類を見ない強国であり、世界最大の核保有国であろうとも無謀な行動を躊躇せざるを得ないだろう。朝鮮に因縁をつける相手とは最後まで武力によって活着をつけるというのが2千500万の人民・軍隊の揺るぎない意志であり、この国の軍事技術的強勢と革命武力の絶対的優位性は、今この瞬間もたゆまなく向上している。
(金志永)