いまも響く差別反対の声/「金曜行動」、文科省庁舎前に集まる参加者たち


無償化排除から12年

「実際に多くの同胞や日本の方々が参加しているのを見て何を感じましたか。君たちの権利を守ろうと声をあげる方々が、こんなにもたくさんいることを、胸に刻んで帰ってください」

6月17日、文科省前での「金曜行動」に初めて参加した東京中高高級部2年の生徒たち。ある教員は、かれらに向けてこう語りかけていた。

約200人が参加したこの日の「金曜行動」は、朝高生がその半分以上を占めた。コロナ禍のなかで高級部へ入学した生徒たちは、さまざまな学校イベントが中止・延期されるなど、これまでの先輩たちが経験した日常とは異なるなかで、学校生活を送ってきた。

今年、2年生になった生徒らが積極的に取り組み、認識を深めてきたテーマが、「在日朝鮮人の権利」についてだった。この間、高校無償化からの朝鮮学校除外問題など在日朝鮮人の権利にまつわる歴史や運動、裁判などと関連して、研究発表や弁護士を招いたシンポジウムなどを開催。学校としては3年ぶり、高級部2年の生徒たちにとっては初となった「金曜行動」への参加は、その取り組みの集大成として企画された。

「私たちがなぜ文科省の前に立っているのか。それはあなたたちが、朝鮮学校を差別して高校無償化をいまだに適用せず、コロナ禍のなかで『金曜行動』ができなかったこの3年間に、私たちを排除しただけでは飽き足らず、朝鮮幼稚園を幼保無償化から、朝鮮大学生をコロナ支援策の給付金制度から除外するなど、さまざまな差別的出来事があったからです。だから私たち、朝鮮高校2年103人は、日本各地の朝鮮高校の怒りを声にして届けたく、この場に立ちました」

同級生たちを代表しマイクを握った金祥済さんは、そう声を張り上げながら、庁舎に向けて自身の思いをぶつけた。

金さんは、つづける。

「文科省の皆さん、いまこの声をどんな気持ちで聞いていますか。面倒くさい抗議がまた始まったとでも思っているのでしょう。あなたたちにとっては面倒くさい問題なのかもしれないですが、朝鮮学校に通う私たちにとっては、尊厳を守る重要な問題です。無償化からの朝鮮高校除外を通して、あなたたちは、差別はしていいものだと私たちに教えた、そのことを恥ずかしく思ってください」

母国語を習い、自国の歴史を学び、民族心を育むのはいけないことなのか、誰しもがもつ当然の権利をなぜ奪おうとするのか―。

朝高生が投げかけた率直な問いに、多くの参加者たちは頷き、そして抗議のシュプレヒコールをあげた。

先生の背中

大学4年のとき以来、7年ぶりに文科省前に立ちマイクを握ったと述べた東京中高教員の金崇浩さん(28)は、「久々に体の底から起こる震えを思い出した」と吐露した。高校無償化法が施行された2010年当時、高校1年生だった金さんは「後輩たちのために」と適用を求める運動に奔走しながらも、無念のなか卒業していく先輩たちの背中をみてきた。そうして朝鮮大学校に進学し、教員として母校に戻ってきたいまも変わらない無償化除外の現状に、強い憤りをあらわにした金さん。

「この間、一体何人の生徒たちが、後輩たちのためにと声をあげ、解決されないまま卒業するのは申し訳ないと、涙を流したのか。この10数年の間、私たちは闘いを続けてきた。法廷闘争もした。しかし、この国は、この国の政治は何も変わっていない。多文化共生、価値観の多様化などと今更のように叫んでいるが、70年以上前からここにいる在日朝鮮人の私たちを差別し、排除してきたのは一体だれなのか」

普段あまり見ない先生の一面なのだろうか、金さんをみつめる生徒たちの表情は真剣で、「朝高生そして朝大生のみなさん、最後まで闘いましょう」との呼びかけに対し、割れんばかりのシュプレヒコールで応えていた。

栃木からも駆け付け

この日の「金曜行動」には、栃木からの参加者もいた。「高校無償化即時適用 栃木ウリハッキョ友の会」という黄色い横断幕を掲げ、5人の参加者が声高に差別是正を訴えた。

初めて参加したという斎藤康史さん(68)は「朝鮮学校の存在を知ったことをきっかけに、在日の子どもたちが差別にさらされていることを学んだ。差別政策を今すぐ取りやめることを日本政府に訴えるため参加した」と話す。

市民らが一念発起し2020年に結成された「栃木ウリハッキョ友の会」は、栃木初中を支援する日本の市民団体だ。

会長の岡崎博さん(71)は「朝鮮学校の生徒たちのため、なにかできることはないかと模索を続けてきた。その生徒たちも参加しての『金曜行動』が再開すると聞いて、メンバーらと一緒に駆け付けた」と話し「自分が栃木初中の支援を本格的に始めたきっかけは、以前参加した『金曜行動』だ。高校無償化からの朝鮮学校除外は差別なんだということをこれからもしっかり訴えていきたい」と力を込めた。斎藤さんも「色んな人に在日の子どもたちが受ける差別について広め、連帯を広げながら抗議の声をあげていきたい」と述べた。

(韓賢珠、金紗栄)