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岸田首相の独少女像撤去要請、各方面から抗議の声

2022年05月31日 16:08 対外・国際

圧力と介入意思表す明白な例

ドイツ・ベルリンのミッテ区に設置された「平和の碑」(少女像)をめぐり、岸田首相が4月28日の日独首脳会談で、ドイツのショルツ首相に少女像の撤去を求めたことに対し、設置を主管した市民団体「コリア協議会」など各方面から抗議の声があがっている。

ミッテ区に設置された「平和の碑」(連合ニュース)

「コリア協議会」は5月11日、公式HPを通じて緊急声明を発表。岸田首相の要請について「日本政府の圧力と介入意思を表す明白な例」だと批判した。

声明では、ベルリンの少女像が、真の平和と正義を願うベルリンの市民たちによって建てられた記念碑であり、ミッテ区の調査を経て公式に設置が承認されたと説明。そのうえで岸田首相の撤去要請は「表現の自由と市民社会の努力を中断させるための前例のない全体主義的行為」だと非難した。さらに「連邦政府が地方行政に影響を及ぼすことができるという誤った仮定は、ドイツ政治文化の本質に対する日本政府の無知を表すもの」であり、これらは「過度な圧力や介入を用いて影響力を行使しようとする時代遅れの階層的思考を示すもの」だと強調。今般の撤去要請を通じ「日本が自ら民主主義国家ではない」ことを露呈するようなものだと指摘した。

声明は、日本政府が第二次世界大戦時の反人倫的な犯罪行為である日本軍性奴隷制問題を解決し、被害者らの傷を癒すために積極的に寄与する義務があると、強く非難した。

ベルリンの少女像は「コリア協議会」が主管するかたちで、1年を期限として20年9月に区の公用地に設置された。その後、日本政府からの圧力により、一時は区長が撤去命令を出す事態に陥ったが、市民から多くの抗議が寄せられ区は命令を撤回。昨年9月には設置期間が1年延長された。

今回の岸田首相による要請は、今年9月に少女像が設置期間満了を控えるなか、碑の設置延長や永続設置に向けた流れを止めたい狙いがあるものとみられる。

朝鮮中央通信社も論評

これと関連し20日には、日本軍性奴隷制問題について学術的な知見をもって発信してきたウェブサイト「Fight for Justice」制作委員会が抗議声明を発表。撤去要請は「不当な政治介入であり、表現の自由への侵害であり、国際人権諸条約の否認である」と非難しながら、「過ちを反省するどころか、逆に日本による加害責任をあらためて否認しようとするものであり、断じて認めることはできない」と、日本政府に対し、撤去要求の撤回と不当介入の取りやめを強く求めた。

一方、朝鮮中央通信は5月24日、「過去の犯罪を覆い隠そうとするほど罪科はより大きくなるものだ」と題した論評を配信し、岸田首相の撤去要請を強く非難した。

論評は、「首相が直接当該国と交渉まで行ったのは、日本が性奴隷像(少女像)の撤去にとても神経を使っており、その実現に汲々としているということを示している。決して、誤った問題を正すためではない」と、反省はおろか戦争犯罪を隠蔽しようとする日本政府の姿勢を断罪した。

論評は、「日本軍性奴隷像には、20世紀に日帝が働いた性奴隷犯罪を絶対に忘れず、許さないという国際社会の意志が反映されている。それほど、日本が働いた犯罪は歴史に空前絶後の特大型反人倫犯罪であった」と指摘。さらに、「日本が性奴隷像をあくまでなくそうとするのは、侵略犯罪の歴史を覆い隠し、過去清算に対する国家的責任を回避するためである」と糾弾した。

また、「過去の犯罪の歴史は否定するからといってなくならず、日本が血塗られた過去を覆い隠そうとするほど罪科はより大きくなるものである。日本の過去清算は、国際社会の要求であり、歴史の道理である」と警告しながら、「歴史の過ちを抱えては明るい未来を期待することができない。日本は、過去清算の回避がもたらす悪結果についてはっきり知って、分別のある行動を取るべきである」と非難した。

(韓賢珠)

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