日本社会の課題に向き合って/高麗博物館で講演


“無償化排除との闘い、そしてこれから”

21日に行われた高麗博物館(東京・新宿)での講演。講師として登壇した「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」共同代表の長谷川和男さんは、自身が教員時代に気づいた内なる差別感情を克服する過程に、朝鮮学校との出会いや無償化裁判を支援する闘争があったと語った。

21日に行われた高麗博物館での講演のようす

1972年に調布市にある公立小学校に着任した長谷川さん。当時、担任を務めた児童らの間でいじめがあり、子どもたちに向けて「いじめや差別はいけない」と語りかけたとき、脳裏に浮かんだ「棘のような記憶」があった。

「幼い頃、近所に住んでいた朝鮮人の子が冷やかされ、いじめられたりしていた。まだ私は5歳くらいだったが、鮮明なのは『僕は朝鮮人に生まれなくてよかった』と当時思ったこと。子どもたちに差別やいじめはいけないと言いながら、私はこの思いを克服しているのかと自問自答した」(長谷川さん)

長谷川和男さん

教員生活を送るなか、内なる差別感情と向き合うようになった長谷川さんは、その後、朝鮮の歴史を学ぶ市民サークルや教員有志らとの学習会、75年から続く朝鮮学校教員たちとの教育交流など「学びを通じて心の奥底にある差別や偏見を克服しよう」と努めたという。

その延長線上に、国を相手取り現役の高校生や学園が原告として闘った無償化裁判への支援活動があった。

長谷川さんは、講演を締めくくるにあたり、都内にある朝鮮学校を支援するため、近年「だいろく友の会」や「東京朝鮮第4幼初中級学校を支援する会」など支援団体が次々と発足する流れにあることを紹介しながら「『朝鮮学校に対する公的助成は当然』という世論をつくること、そして地域から朝鮮学校を守るための行動を起こしていこう」と呼び掛けた。

研究会メンバーらによる詩の朗読

講演後、会場では無償化適用を願う各地の高級部生たちが書いた3篇の詩が紹介され、研究会のメンバーがそれぞれ朗読。その後質疑応答が続いた。

問題の根源をみる

5枚のパネルが展示された「現代トピック」コーナー

昨年のリニューアルを機にはじまった「現代トピック」コーナーには、現在、高校無償化裁判に関する展示がある。

「外国人学校の高校生にとっての高校無償化法とは?」「日本の外国人学校と朝鮮学校~無償化問題の背景」「無償化適用を求める闘い」「裁判で何が問われたのか?その結果は?」「闘いから得たもの、そしてこれからの課題は?」をテーマに計5枚のパネルで、問題点や意義、今後の課題など日本の市民らが考える無償化裁判についてコンパクトに解説している。

民族教育研究会の大石忠雄さんは、「民族教育を考えるとき、朝鮮学校を各種学校という枠に閉じ込めている根底に、朝鮮に対する植民地支配をきちんと清算できていない日本の現状があることを事実として見つめなくてはならない」と、この間フィールドワークや調査を通じて目の当たりにした「問題の根源」を指摘。そのうえで、現在展示中の「現代トピック」を入り口に多くの日本人がこの問題を自分事として考えてほしいと語った。

(韓賢珠)