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新進気鋭の若手美術家たち/全国新人美術展覧会で発掘

2021年07月03日 12:25 共和国 主要ニュース

平壌で開催された「全国新人美術展覧会」(5月11~6月7日、玉流展示館)は、新進気鋭の若手美術家らが斬新な表現や手法で生み出した優れた作品が多数出品されたことで、チュチェ美術の新たな発展の可能性を開いた。一躍脚光を浴びている若手美術家たちを取材した。【平壌支局】

展示場のようす

ありのままの生活を映し

「前途有望な若手美術家が優れた作品をより多く創作することでチュチェ美術を発展させ、新たな5カ年計画遂行にまい進する人々を鼓舞する」との目的で開催された展覧会には、万寿台創作社、平壌美術大学、咸鏡南道美術創作社をはじめとする全国数十の創作団体の新人美術家らが制作した230余点の作品が出品された。

チュチェ美術の新たな発展の可能性を開いた全国新人美術展覧会

作品のテーマは、5カ年計画遂行の初年度に金属、化学工業、農業、平壌市住宅建設現場をはじめとする経済建設の現場で奮闘する人々の姿や、人情あふれる人々の暮らし、朝鮮民族の歴史や民俗などさまざまだ。特筆すべきは、すべての作品が労働や生活の現場に直接赴いて創作された点である。朝鮮美術作品普及社のキム・ソンヒ課長(51)によると「朝鮮労働党第8回大会以後、美術家たちは経済建設の現場に積極的に出向いて創作活動に励んでいる」という。

中でも展示場で来場者の注目を一身に集めたのが、「最初の計画を完遂して」(油絵)だ。ありふれた農場を舞台に、1日の目標を達成して喜び合う女性たちの姿を生き生きと描いた。

油絵「最初の計画を完遂して」

朝鮮美術界の権威ある老画家チェ・ソンリョン氏は作品について「展示場を3回見て回ったが、『最初の計画を完遂して』は実に印象的だ。農村の

情緒、芳しい大地の香りがあふれ、あたかも自分が農場の女性たちとともにいるような錯覚を覚えた。作品と心の対話を交わした。驚くべき才能だ」と評す。

キム・ホンヨンさん

作品を手掛けたのはキム・ホンヨンさん。万寿台創作社の油絵創作団に所属する弱冠25歳の女流画家だ。平壌美術大学絵画学部卒。繊細で抒情的な描写もさることながら多くの専門家らを驚愕させたのは、キムさんが創作活動を始めてわずか1年という事実だ。「最初の計画を完遂して」はキムさんが全国レベルの美術展に初めて出品した作品だ。

江原道元山市の出身で子どもの頃はピアニストが夢だったというキムさん。「美術家の父を見ながら、絵を描くことに徐々に惹かれていった。ありがたい人たちに囲まれて過ごす、人情味あふれる私たちの生活を、私自身の手で描き出したかった」と話す。

おとなしく物静かな性格で、風景画を好む。花が咲き誇る春、木々が色づく秋には牡丹峰など景色の良い場所で創作する。創作で最も重視するのは「真実性」だ。場面や生活のリアリティを色彩で表現するように努めている。「最初の計画を完遂して」はこのようなキムさんの個性によって生み出された。

「農場に出向いて創作したのはこれが初めてだった。朝日が昇る頃、田畑に霧がかかり、土の上からもんもんと蒸気が沸き上がる風景は、都市では感じたことのない農村特有の情緒だ。農場の労働者とともに農作業も行ったが、必ず多収穫をもたらそうとする彼女たちの素朴で誠実な姿は感動的だった。私はそれをそのままキャンバスに映しただけ。制作過程を通じて名作とは小手先ではなく、生活を愛し、生活に深くかかわるとき初めて生み出されるということを知った」(キムさん)

伝統美術を新たな手法で

展覧会に出品された美術作品のジャンルは朝鮮画、油絵、彫刻、朝鮮宝石画、アクリル画、出版画、刺繍、陶磁、金属工芸など。その中で異彩を放ったのが焼き絵だ。

焼き絵とは、熱したコテなどの金属を用いて、紙や木材などに焼きつけて描く絵のこと。朝鮮で焼き絵は朝鮮王朝時代に発展したものだが、今回の展覧会には伝統美術を継承しながらも新たなアプローチで発展させる努力が顕著に見られた。

焼き絵「蝶々とおんどり」

キム・ヒョンジンさん

焼き絵は描写が単純で、その表現において限界があるものの、素朴で独特な味がその魅力とされる。今回の展示会には、焼き絵本来の魅力を活かしつつ、平面に描く従来の技法とレリーフ(浮彫)の技法を融合した新しい作品が出品された。

キム・ヒョンジンさん(26、万寿台創作社工芸創作団)による「蝶々とおんどり」だ。背景の岩や枝葉は平面で表現し、主役の蝶々と鶏は彫り込んだり形態を盛り上げて起伏を与えて立体的に表現した。制作の経緯についてキムさんは「焼き絵に挑戦したのは今回が初めて。誰もやったことのない新しい表現をつくり出したかった。ユニークで面白い表現はないかと思索する過程で、焼き絵にレリーフを取り入れてみようとひらめいた。題材は広く愛される朝鮮の童話から得たものだ」と説明する。

粘り強く、いったん始めたことは何が何でも最後まで貫く性格のキムさん。「展覧会を通じて自分のレベルを自覚することができた。美術家たちと経験を共有し、競争心を掻き立ててくれた良いきっかけにもなった。今後、伝統的な焼き絵をより現代的に、より斬新に発展させていきたい」と意気軒高に語った。

(朝鮮新報)

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