総動員で農業生産目標達成を/朝鮮で田植え始まる
2021年05月19日 11:00 経済 共和国 主要ニュース朝鮮で今年も田植えが始まった。朝鮮中央通信は10日、平安南道平原郡院和協同農場で今年初の田植えが行われたと伝えた。全国各地の協同農場では、朝鮮労働党第8回大会が示した新たな国家経済発展5カ年計画の初年度の農業生産目標を達成すべく、農作業に精を出している。
1年の農作業のなかで最も大切とされる田植え期。朝鮮ではこの時期、国を挙げて農業に勤しむ。
労働新聞13日付によれば、今年の田植え期は天気が変わりやすく条件は厳しいが、農業部門では今年の穀物生産計画を必ず達成する決意にあふれている。新聞各紙は、「今年の穀物生産目標を達成できるか否かは、田植えをいかに行うかにかかっている」とし、すべての力量と手段を田植えに集中することを呼びかけている。
朝鮮では昨夏から昨秋にかけて、穀倉地帯を含む広範な地域が台風と豪雨被害に見舞われた。このことを踏まえて農業省では、台風や豪雨などの自然災害を見越して、収穫量減少を最小限にとどめるための対策を講じてきた。また、オンライン上で農業に関する技術的問題に答えるQ&Aサービスの運営をいっそう強化し、技術問題解決のための資料提供も積極的に行っている。
党第8回大会後、農業部門の活動家と労働者らは各農場の実情に応じた種類の稲を選別し、種まきと育苗に注力するなど田植えに向けて準備を進めてきた。また、市、郡の農業機械作業所、各農場の機械化作業班などでは稲の種類別特性に即して田植機を合理的に改造したり、修理、整備する作業を行った。
各地の協同農場では現在、近年の農業の成果を活かしながら適期に田植えを終えるよう努めている。
穀倉地帯の一つである黄海北道では今年の穀物生産を達成するため、水の確保を重視し、灌漑システムの改善、設備の整備、補強に注力した。
道では、昨年の台風と豪雨で被害を受けた灌漑システムの復旧を原状回復のレベルではなく、設備補強に努めた結果、昨年の同時期比で2倍の灌漑用水を確保。田植えに必要な水を道内の農場に十分に供給できるようになった。
平安北道では14日までにすべての協同農場で耕起(畑を耕すこと)を基本的に終えて田植えに入ったほか、南浦市江西区域の青山協同農場では先進的な育苗方法、苗床管理で丈夫な稲苗づくりに努め、現在、田植えを順調に進めている。
一方、トウモロコシの種まきは黄海南道などで完了し、除草作業に着手。両江道などの北部ではジャガイモの種まき作業が迅速に進められている。
物質技術的土台強化も
穀物増産のためのさまざまな土台も構築されている。耕地面積が少ない朝鮮では土地開拓が課題として取り組まれている。朝鮮中央通信によれば、今年に入って5カ月間で全国的に900余町歩(1町歩=約1ヘクタール)の耕地を開拓した。
また、燐灰土や砒石、バーミキュライト、マンガン土など国内に豊富な資源に基づいて鉱物質肥料を自力で生産し、導入している。鉱物質肥料は農作物の生育と収穫量アップを期待でき、化学肥料よりも少ない投資で生産することができるとされる。黄海北道では、道内に豊富な燐灰土で過燐酸石灰をつくって丈夫な稲苗づくりに役立てている。
朝鮮の農業生産
近年、朝鮮の農業生産は大干ばつや水害など悪条件が重なる中でも一定の成果が上げられてきた。背景には科学農法の導入や徹底した干ばつ対策などの積極的な取り組みがある。
朝鮮農業省が国連人道問題調整事務所(OCHA)に提出した報告によれば、穀物生産量は順調に増産してきた2016年以降、17、18年は前年比を下回ったものの、19年には過去最高となる665万トンを突破した。国内で必要な穀物収穫量は年間600万トンとされている。
党第8回大会では、農業生産を成長させて食糧問題を決定的に解決するため、5カ年計画の中心課題として、▼党が提示した穀物生産目標の無条件達成▼農業の持続的発展のための物質的・技術的土台の構築▼種子革命、科学的農業、低収穫地での増産、新しい土地と干拓地の開拓▼農産と畜産、果樹栽培の発展▼農業の水利化、機械化―が提示された。
(朝鮮新報)