熊本で50回目の慰霊祭/朝・日・中市民ら合同で
2021年04月15日 08:51 主要ニュース 歴史強制連行犠牲者を悼む
「中国人・南北朝鮮人殉難者合同慰霊祭」が12日、荒尾市(熊本県)の正法寺で行われた。同慰霊祭は、第2次世界大戦中に朝鮮半島や中国から強制連行され、各地の炭鉱などで亡くなった人々を悼む目的で毎年行われている。今回、50回目を迎えた慰霊祭には、総聯熊本県本部の金末幸委員長をはじめ、民団、熊本華僑人総会などから、約40人が参加。読経が行われる中、犠牲者を追悼した。
総聯熊本県本部の金末幸委員長はあいさつで、各地で歴史歪曲の動きが進むと同時に、コロナ禍でも朝鮮学校・幼稚園をはじめとする在日朝鮮人への差別が噴出する日本の社会状況について言及し、「戦後から今日まで一貫して変わらないものが日本政府の在日朝鮮人政策である」と指摘した。そして「過去の歴史を繰り返さないためにも、慰霊祭を新たな出発点とし、殉難者たちが望んだ祖国の平和統一、日朝関係の発展のために努力したい」と語った。
熊本華僑人総会の鄭則賢副会長は「国が違っていても、人と人との心がつながり、理解しあうことが安全保障の根本である」としながら、「アジアにともに住む我々が過去の歴史を鏡として2度と戦争をしないという認識をもって進んでいこう」と呼びかけた。
慰霊祭では、浅田敏彦・荒尾市長のメッセージが代読された。浅田市長は「中国人、朝鮮人殉難者のみなさまに哀悼の意を表す」とし、「その尊い教訓を胸に刻み、不幸な歴史を二度と繰り返さないよう、より一層平和と友好に務めていく」と述べた。
熊本県議会議員の島田稔氏は、「先の大戦で強制労働を強いられ、望郷の念を胸に、異国の地で亡くなられた殉難者のための合同慰霊祭の開催に敬意を表す」とし、「現在、日本と中国、朝鮮半島の関係は緊張状態にあるが、国同士が腹をわって話し合い、いい関係を作っていきたい」と語った。
5円、10円、托鉢と思いを集め
慰霊祭が行われた正法寺には、強制連行犠牲者を追悼する2つの塔が存在する。1つは、朝鮮人殉難者のための「不二之塔」。もう1つは「中国人殉難者供養塔」だ。日本で強制労働を強いられた朝鮮人、中国人を供養するために、同寺の赤星善弘名誉住職が中心となり、1972年に建立された。
正法寺の位置する荒尾市には、多くの朝鮮人が強制労働を強いられた三井三池炭鉱がある。三井三池炭鉱では、朝鮮人2376人が働かされ、そのうち15人が死亡。中国人労働者は2481人で、635人が亡くなっている。
赤星名誉住職が、供養塔の建立を思い立ったのは