〈ものがたりの中の女性たち 40〉誇り高い少女たち/少女某、鄭氏、呉氏、金氏、柳氏
2020年12月06日 07:00 主要ニュース 歴史あらすじ
全羅道南原(チョルラナムォン)に住む独身の梁(リャン)生は、幼い頃に両親を亡くし、萬福寺(マンボクサ)の片隅で暮らしてる。独り身を嘆き祈りを捧げていていると、仏像から樗蒲遊び(ちょぼあそび・さいころのような五角形の木の棒をサイコロのように振るゲーム)に勝ったら連れ合いを授けるという声が聞こえる。
ゲームに勝った梁生は、お参りに来た美しい少女と出会う。彼は寺の行廊に彼女を誘い、その侍女がしつらえた素晴らしい酒肴に驚く。彼女は倭寇の乱中に両親とはぐれ、貞節を守りながら三年の間田舎に身を隠していたと言う。
ふたりは意気投合し、彼女の家に付いて行く。深い山の大きな白樫の木の下にある美しい家でふたりは結ばれ、三日間仲睦まじく過ごす。親族の四人の少女たちからも詩を送られる。梁生は彼女から銀の器を渡され、宝蓮寺(ポリョンサ)で両親が待っていると言うので再会を約束し別れる。
約束の日、梁生が待ち合わせの場所に行くと、十五歳の娘の葬儀のために来た貴族の一行と出会う。梁生は少女がその貴族の亡くなった娘の亡霊であることを銀器によって知ることになる。ふたりは両親が供えた供物を食べた後に話し合い、少女はあの世の理に背くことはできないと言い残し消えてしまう。
梁生は悲しみに暮れ、彼女の遺体が埋葬された開寧(ケニョン)洞を訪れ、祭祀を行い悲しみに暮れる。夜になると少女の声が聞こえ、自分は他国で男に生まれ変わったのであなたも仏事に励み輪廻の輪から外れよ、と言う。梁生は二度と結婚はせず、智異山に入り薬草を採りながら暮らす。いつどのように死んだのかはわからない。