奈良県商工会・奈良初中50周年記念祝賀宴/記念誌も出版
2020年10月10日 00:57 民族教育 主要ニュース新たな100年の歴史をスタート
奈良県商工会結成50周年・奈良朝鮮初中級学校創立50周年および記念誌「奈良の朝鮮学校」出版記念祝賀宴が3日、奈良市内のホテルで行われた。
在日本朝鮮商工連合会の朴忠佑会長、呉民学理事長、総聯奈良県本部の邵哲珍委員長、奈良県商工会の金照郎会長、李逹圭常任顧問、近畿地方の総聯・商工会活動家をはじめとする同胞たち、奈良県議会・市議会議員、市民団体をはじめとする日本人ら約100人が参加した。
奈良県商工会と奈良朝鮮初中級学校は昨年、ともに50周年の節目を迎えた。県下の同胞・商工人らは日本の友人らと手を取り合って、昨年1年間、「奈良50周年プロジェクト」(実行委員長=李達圭常任顧問)を立ち上げ、▼商工会結成50周年記念奈良同胞祖国訪問団(4月28日~5月4日)、▼奈良朝鮮幼稚班・同胞大運動会(10月28日)、▼奈良朝鮮初中級学校創立50周年大同窓会(11月24日)、そしてこの▼50周年記念誌発刊など、さまざまな事業に取り組んできた。
この日の祝賀宴は、半世紀の節目を記念すると同時に、同プロジェクトを総括し、奈良同胞100年の歴史の新たなスタートを切ろうと催された。
金照郎会長は開会のあいさつで、「同胞商工人たちをバックアップし、大小の問題を皆で悩み、解決していく身近な商工団体を作り上げたい。そして商工人たちが自ら進んで入りたいと思うような団体にしたい」と述べた。祝賀宴に先立ち行われた奈良県商工会19期総会で、21年間、会長を担った李達圭顧問の意志を継いで新たに会長に就任した金会長は、奈良初中卒業生としては歴代初の会長である。この日をきっかけに「50年をきちんと総括し、今から始まる新しい時代に、力強い一歩を踏み出したい」と話した。
つづいて来賓たちがそれぞれあいさつした。
朴忠佑会長は「50年という歳月は、世代でいえば3代を継承する期間。このように盛大な祭典を催すことになったのも20世紀から21世紀へと世紀をまたぎ、代を重ね活動してきた奈良同胞たちの努力のたまもの。同じ商工人として心からの敬意を表する」とし、奈良商工会と奈良初中が、常にともに歴史を歩んできたと強調しながら、「50周年を契機に、奈良商工会を中心に、同胞社会の未来である朝鮮学校を支える活動が実ることを確信し、期待している」と述べた。
参加者たちが祝杯をあげ、談笑を楽しむ中、記念誌「奈良の朝鮮学校―奈良同胞100年に向かって」編集委員たちが紹介された。会場では、奈良初中、奈良の同胞たちが繋げてきた50年の歩みがまとめられた記念誌を手に取って、懐かしそうにほほえみながらページをめくる参加者の姿が見られた。
来賓や関係者たちのスピーチがつづく中、学校を代表し、教育会の李成圭会長が次のように発言した。
「奈良県同胞には、悲しい過去がある。2008年3月、苦境で学校の門を閉めた。しかし、同胞と日本の友人たちの熱い思いによって14年4月に奈良朝鮮幼稚班として民族教育を再開した。現在は2人の先生と4人の子どもたちが毎日楽しく通っている。大切な学校をなくした大きな悲しみ、そして学校を再開させた大きな喜びは一生忘れられない。これから3世、4世たちが学校を守っていく。皆さんに民族教育に対する支援と協力を切にお願いしたい」
祝賀宴では、奈良朝鮮幼稚班をとりまく奈良同胞たちの取り組みや、昨今の民族教育の置かれた状況をまとめた映像が流された。また、金剛山歌劇団、大阪朝鮮歌舞団による公演も行われ、会場の雰囲気を盛りあげた。最後は参加者らが奈良朝鮮初中学校の校歌を合唱した。
また、李達圭常任顧問に花束が贈呈された。李常任顧問は父の故李春燮・初代会長(学校建設委員長)の志を継いで、商工会会長として長きにわたり奈良同胞社会を支えてきた。
閉会の辞で李常任顧問は「商工会と奈良初中の50周年に際し、たくさんの人が力を添えてくれた。この歴史は、同胞たちの熱い思いと、日本の友人たちの支えがあってこそのもの。改めて感謝を伝えたい」と話し、「1世が築いた歴史を2世、3世が守り、今は4世、5世の時代になった。環境は依然、厳しいが、今後も愛族愛国の精神と、日本の皆さんとの連帯の輪を力に、奈良同胞コミュニティーの発展と地域社会での共生に努めていきたい」と話した。
(李鳳仁)