〈特集・大阪朝高ラグビー部 1〉「使命」をスローガンに/2年ぶり11回目の花園出場へ
2020年10月10日 00:00 スポーツ 民族教育大阪朝高ラグビー部は日本各地の強豪校に比べて部員数が少ないなか、過去に春の「全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会」(選抜)に8回、冬の「全国高等学校ラグビーフットボール大会」(花園)に10回出場し、2009、10年の花園では2年連続ベスト4を成し遂げた。2年ぶりの花園出場を目指す今年度のチームは、2月の近畿大会で3位に入り、選抜大会への出場権を獲得。新型コロナウイルスの影響で選抜大会、大阪総体が中止となったが、近畿大会大阪府予選を勝ち抜いたことで花園予選のAシードを獲得した。花園出場の期待が高まる同部を追う。(全基一)
自分たちの手で運命を
今年度の大阪朝高ラグビー部は選手39人(高3・21人、高2・7人、高1・11人)とマネージャー2人、指導者3人で始動し、今年で100回目を迎える「花園」に向けてトレーニングを積み重ねてきた。
権晶秀監督(第6代監督)は新チーム発足当初から選手たちにこのように話してきた。
「これからも大阪朝高ラグビー部が強豪チームとして発展し輝くか、このまま過去のチームとして終わるかは、今年の花園に出場できるかにかかっている。大阪朝高ラグビー部の運命が君たちにかかっている」
発破をかけられた選手たちは「同胞たちに力と勇気を、後輩たちに夢と希望を与える」という同部の使命を背負い、「使命」をスローガンに掲げて1年間をたたかい抜くことを決めた。
もうひとつ、選手たちの心に深く根付いている言葉がある。「하나(一つ)믿음(信頼) 승리(勝利)」。チームが一つになり、お互いを信じ勝利へと突き進む。これは同部の理念として、権監督が常々説いてきた言葉だ。
チームの軸となる高3のうち、13人が昨年の「花園」予選決勝のグラウンドに立った。昨年の最高学年は部員数が少なく、けが人も多かった。代わりに出場した現在の高3は対戦した大阪桐蔭高校に力の差を見せつけられた。
試合では完敗を喫したが、多くの選手らが決勝の舞台に立ったことで得られたものもある。選手たちは「引退した高3の借りを返す」と、チームや個人の課題を一つずつ克服してきた。結果、近畿大会の第3・第4代表決定戦で大阪桐蔭高校を54-5で下し、昨年の雪辱を果たした。
昨年度の経験を糧にして練習に打ち込んできたチームは、「攻守ともにバランスが良く、勢いが出ると簡単には止められない」(権監督)。
今回の花園府予選第2地区でAシードを得た大阪朝高ラグビー部は、10月18日に初戦を迎え、勝ち続ければ25日に準決勝、11月1日に決勝戦をたたかう。
〈特集・大阪朝高ラグビー部〉は本紙記者が同部に密着し、月、水、金、日曜日に電子版で配信していく。紙面では毎号7面に掲載する。