〈関東大震災97周年追悼式典〉東京・荒川河川敷
2020年09月07日 15:12 主要ニュース「歴史の延長線上」にヘイトや差別
「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会(追悼する会)」と一般社団法人「ほうせんか」が共催する「関東大震災97周年韓国・朝鮮人犠牲者追悼式」が5日、荒川河川敷の木根川橋下手(東京・墨田区)で行われた。今回で39回目となる同追悼式に、日本の市民や同胞ら約300人が参加した。
当日、土手下にある追悼碑と隣にある「ほうせんかの家」も開放された。例年は展示場や語りあう場となっているが、新型コロナウイルスの拡大を防ぐため今年は「ほうせんかの家」でのイベントは行わず、追悼式は河川敷でのみの開催となった。
震災当時、荒川土手には火災を逃れた避難民が集中したが「朝鮮人が放火した」などの流言飛語が飛び、軍隊、警察、デマを信じた自警団らによって、荒川にかけられていた旧四ツ木橋では多くの朝鮮人や中国人が虐殺された。
1982年9月に遺骨の「試掘」を試みたが、遺骨の行方を調べることができなかったという。23年11月の「国民新聞」などには、すでに犠牲者の遺体が少なくとも2度掘り起こされどこかへ運び去られていたことが記載されており、真相究明が困難な状況だという。
追悼式に先立ち、参加者たちは献花台に花を手向け犠牲者たちに思いを馳せた。
あいさつに立った「追悼する会」の西崎雅夫理事は、日本政府が高校無償化や幼保無償化、学生支援緊急給付金の対象から朝鮮学校の子どもたちをはずしているのは、これまでの歴史の延長線上にあると指摘。97年間、虐殺に関する国の公的な調査が行われてないことや、昨今の小池都知事の追悼文不送付を非難した。
西崎理事は最後に「日本政府に公的な責任を取らせることは私たちの責任」だとしながら「皆さんと共に今後も歩み続けることを誓」うと話した。
「ほうせんか」の慎民子理事によるあいさつと、中国の犠牲者遺族から送られた追悼メッセージの代読があり、最後にプンムルノリサークルによる民族打楽器の演奏が披露された。
(金紗栄)