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関東大震災時の「強かん」流言/ジェンダーの視点で朝鮮人虐殺を検討

2020年08月17日 11:02 歴史 主要ニュース

関東大震災(1923年9月1日)時の朝鮮人大虐殺では、朝鮮人が「放火・投薬・暴動・略奪」など「犯罪」行為を行ったとする流言だけでなく、「朝鮮人男性が日本人女性を強かんした」という虚偽情報もまた、虐殺の口実の一つにされた。金富子さん(東京外国語大学)を講師に招いて行われた学習会「関東大震災時の『レイピスト神話』と朝鮮人虐殺」(7月30日、主催=1923関東朝鮮人大虐殺を記憶する行動)では、ジェンダーの視点から朝鮮人大虐殺について考察した。

講演する金富子さん

横浜の大火は概ね鮮人の放火に原因せり…婦女を辱め、残存建物を焼毀せんとするなど、暴虐甚だしき…(9月2日)

これは、官憲史料で確認できる関東大震災時の東京の警察署管内における最初の「強かん」に関する流言だ。

関東大震災時の朝鮮人大虐殺については、多くの先行研究とともに史料や証言の掘り起こしにより、実態が明らかにされてきたが、虐殺や流言に関してジェンダーの視点から検討した研究はほとんどない。

このような問題意識から金富子さんは、当時の官憲史料と新聞報道を用いて「朝鮮人が日本人を強かんした」という日本民衆による流言がどのように形成され、どのような役割を果たしたか、ジェンダーの視点から検討を試みた。

研究は「黒人レイピスト神話」に関する近年の研究に着想を得た。20世紀転換期の米国南部諸州においては黒人男性へのリンチが多発し、黒人男性が白人女性を強姦したという事実無根の言説でリンチが正当化された。

金さんは「関東大震災時、まさに同じことが朝鮮人に対して行われた」としながら、これは「日本人男性による朝鮮人男性への集団虐殺に現れた民族とジェンダーの作用」だと説明した。

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