〈そこが知りたいQ&A〉朝鮮のコロナ対策と現状は?/防疫システム、最大非常体制へ
2020年07月30日 13:15 主要ニュース 共和国初期から感染予防を徹底
7月25日に緊急招集された朝鮮労働党中央委員会政治局非常拡大会議では、朝鮮国内で新型コロナ感染が疑われる初の事例が報告され、国家非常防疫システムは最大非常体制へと移行された。朝鮮の新型コロナ感染対策と現状についてまとめた。
– これまで朝鮮ではどのような措置がとられたのか。
新型コロナの感染状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)に該当するとしたWHOの発表(1月30日)に先立ち、朝鮮では、同月24日の時点で、国家の緊急処置に基づき、衛生防疫システムを国家非常防疫システムに転換。中央と地方に非常防疫指揮部を設置し、防疫活動を統一的に実施した。
2月末には、金正恩委員長の指導の下、党中央委員会政治局拡大会議が開催され、ウイルスを防ぐための超特急防疫措置が講じられた。会議では、非常防疫に関する法を修正・補完し、防疫手段と体系・法を補完することや、非常防疫と関連する中央指揮部の指揮と統制に従う規律を確立することなどが強調された。これに従い、最高人民会議常任委員会は、伝染病予防法を修正・補充した(4月3日発朝鮮中央通信)。
その後も世界的な新型コロナ感染拡大に伴い、朝鮮では対策を強化。4月11日に行われた党中央委員会政治局会議では、党中央委員会、国務委員会、内閣の共同決定書「世界的な大流行伝染病に対処し、朝鮮人民の生命安全を保護するための国家的対策をさらに徹底的にたてることについて」が採択された。
7月2日に行われた党中央委員会第7期第14回政治局拡大会議では、朝鮮が世界的な保健危機の中でも、ウイルスの境内侵入を徹底的に防ぎ、安定した防疫形勢を維持していることは、党中央の先見の明と党中央の指示に従う市民の高度な自覚的一致性がもたらした成果であることを評価しうたうえで、ウイルス流入の危険性が完全に消失するまで、国家非常防疫システムをさらに強化していくことが強調された。
―実施された具体的な対策は?
まず国境と地上、海上、空中などすべての空間でウイルス流入ルートを先制的に完全遮断・封鎖した。国土環境保護管理局では、ウイルスの感染経路を徹底的に遮断するため、主要河川における水質調査を実施。国境地域や主要港に位置する輸出入品検査検疫所では、国内に入る物資に対する検査・検疫を徹底した。
一方、外国からの入国者を全国的に掌握し、医学的監視を実施。中央非常防疫指揮部では、1月13日以降に入国した外国人、外国出張者とその接触者、発熱症状などの異常症状のある対象を隔離し、医学的観察および治療を行った。
公共の場では、マスク着用とソーシャルディスタンスの義務化などの措置が講じられ、馬息嶺スキー場(江原道)、陽徳温泉文化休養地(平安南道)のスキー場など、レジャー施設の運営も暫定的に停止された。
教育現場では、2月中旬から、各教育・保育機関で学生・子どもたちの休みが延長された。託児所の運営が臨時的に中断されたことと関連して、子どもを抱える女性労働者の出勤を免除する措置も取られた。
また、住民たちに衛生防疫の常識を普及させ、感染の症候が現れた場合、衛生防疫機関に即時通報するシステムを稼働。IT技術に基づいた国家的な非常防疫対策がすすめられた。
―朝鮮での新型コロナ感染状況は?
党中央委員会第7期第14回政治局拡大会議(7月2日)が開催された時点では、約6カ月間におよぶ国家的な非常防疫事業の結果、国内に感染者は確認されていなかった。
世界保健機構(WHO)平壌事務所所長も、7月16日の時点で、