〈特集・知って活用しよう、公的支援策〉解説・事業主への緊急貸付制度~円滑・迅速に資金調達するために~/鄭英哲
2020年05月18日 12:00 主要ニュース今回は、公認会計士・税理士の鄭英哲さんに、事業主への緊急貸付制度について解説していただく。
コロナに関する緊急貸付制度について、円滑・迅速に加えて少しでも多く資金調達するためのお話をしたいと思います。
私は、資金調達に関わる資料作成および経営者に代わり、金融機関への融資のプレゼンをすることを得意としています。記述する内容が少しでも参考になれば幸いです。
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まずは全般的に言えることです。
- 初見の金融機関に相談する場合、なるべく顧問税理士などの協力を得て、フリーダイヤルは利用しない。その場合、だいぶ印象が変わります。
- 事実と異なる帳簿残高がある場合は、試算表を提出する前に顧問税理士に相談。
- 金融機関の面談時はなるべく顧問税理士または資金調達に強い専門家に同席してもらうこと。経営者に代わりに、適切なストーリーを話せる専門家であればベスト。
そして、資金調達の際に利用するのは、以下4つを参考にしてください。
- 日本政策金融公庫「国民生活事業」
- 保証協会(付き合いのある金融機関が窓口)
- 日本政策金融公庫「中小企業事業」
- 商工中金
※「国民生活事業」と「中小企業事業」は同じ「日本政策金融公庫」ですが、別の金融機関だと思ってください。前者は4000万円程度までの融資金額、後者はそれ以上のやや大会社向けの融資に対応しています。
Ⅰ. 5000万円程度の資金調達のケース
国民生活事業と保証協会の2つで十分です。
(1)日本政策金融公庫「国民生活事業」
保証協会よりも融資が早いため、まずはこちらに申し込むのが効率的です。
過去に融資を受けたことがある | 当時の支店の担当者に直接連絡 |
初めて融資を申し込む | 既述通り、顧問税理士などの協力を得る |
ポイントは、
- 面倒な書類を求められることが少ない
- 顧問税理士などの協力があれば、書類のみの審査になりがちな中、電話や書面である程度のプレゼンを打つことができる。さらに進捗も確認することができる。
(2)保証協会
コロナで利用する保証制度の概要と融資のポイント
4号認定 | 無担保8000万円 保証割合100% |
危機関連保証 | 無担保8000万円 保証割合100% |
上記も含めて、各自治体が行っている保証制度 | 難しく考えず、金融機関の担当者に聞く。 |
「危機関連保証」の枠は、4号認定とは別の枠になります。
よって、4号認定の8000万円と危機関連保証8000万円と併せて最大1億6000万円の申し込みが可能です。
保証協会からの質問については、直接回答はできず、フロントにいる金融機関を介して間接的に行われます。
よって、質問に対しては、金融機関の先にいる保証協会が理解しやすいように明確に回答する必要があります。回答しづらい質問については、顧問税理士や資金調達に強い専門家に相談すること。
II. 5000万円から数億円以上の資金調達のケース
(1)保証協会からの保証
Ⅰ. (2)の通りです。
(2)日本政策金融公庫「中小企業事業」
融資金額は5000万円~数億円に対応している金融機関です。
現在噂されているパチンコホールに対する保証協会の利用の解禁がされれば、同金融機関からの融資も期待できます。
一方で、同金融機関から融資を受けたことがある会社はあまりないと思います。
それを踏まえてポイントを記載します。
顧問税理士などの協力がない場合(大半の場合) | 一度ご相談ください |
提出する書類が煩雑 | 〇か年の事業計画書 〇か年の資金計画書 など普段作成していない、かつ作成に時間がかかる資料の提出を求められる可能性は高い |
(3)商工中金
初見の場合、中小企業事業と同程度の書類を求められることが多いです。
今回のコロナ対策の融資については、日本政策金融公庫や保証協会を利用しても必要金額に足りなかった部分に対して、補完的に融資をするという趣旨だそうです。
それらを考慮すると、他の資金調達方法に比べ優先順位は低いと考えられます。
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以上、緊急貸付制度に関する資金調達を円滑・迅速に行うための方法についてお話しました。金融機関へのコネクションとなる顧問税理士の協力、試算表の調整、金融機関からの質問に対する回答に困りの場合、可能な範囲で無料で相談をお受けします。
相談・問合せ先(鄭英哲:info@artelier.jp 03-6670-9568)
(公認会計士・税理士)