〈時代を視る 12〉低成長国家・日本の歴史的景気拡大/康明逸
2019年12月21日 11:57 主要ニュース 朝鮮半島分配の果実は大企業へと
「失われた30年」に
日本経済は、朝鮮戦争直後の1955年から1973年の間で大きな成長を遂げた。当時、国内の生産能力の伸び率を示す実質GDP成長率は年平均で10%に届く勢いだったことから、後年「高度成長期」と呼ばれるようになった。
その後、1974年に起こったオイルショックは、世界的な資源(原油)価格の高騰とインフレを招き、各国の経済成長水準を大きく引き下げた。
日本もその余波を受けることになるのだが、高コスト構造を乗り切る高い技術水準を背景にして、1974年から1990年の間、平均4~5%の安定的な経済成長を達成している。(安定成長期)。
日本の経済的躍進が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と一世を風靡し、経済大国の一角に食い込むことで、日本が先進諸国の仲間入りを果たしたのも、この時期にあたる。
しかしながら、1990年以降のバブル不況後の長期的経済低迷の結果、現在まで日本経済は平均1%程度の成長しか達成できなかった。
バブル崩壊から数えて、2000年には「失われた10年」、2010年には「失われた20年」と呼ばれたが、いまだ低成長から抜け出すことのできない日本経済の長期不振は、いまや「失われた30年」に至ろうとしている。
高度成長や安定成長・バブル経済期の強烈な記憶から、日本が世界経済をけん引しているという「幻想」から抜け出せない人も多いようだが、いま日本は、明らかに経済先進国の中では有数の低成長国家となってしまっている。私たちはこの現実を直視するべきである。