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〈取材ノート〉書くのは10秒、消すには

2019年12月18日 10:45 コラム

日本のお笑い芸人、スマイリーキクチさん(47)は20年前のある日、殺人事件の犯人にされた。

88年頃に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人だとネット上にデマが書き込まれ、20年間、誹謗中傷や殺害予告を受け続けている。

「書くのは10秒でできるけど、消すには裁判までしなければいけない」という彼の言葉が、被害者救済のハードルの高さを物語る。

ネット上での人権被害を受けた場合、削除及び発信者情報請求を行わなければならないが、現行制度ではコンテンツプロバイダとアクセスプロバイダそれぞれに仮処分の申し立てを被害者が行わなければならない場合が多い。しかしアクセスログの保管の内容と期間に関する定めがないため発信者を特定できない場合もあるなど複雑で頭が痛くなるほど問題が多い。要するに「非常に大変」。

ネット上には驚くほどおぞましい「言論」が野放図に広がる。日本にはネット上の人権侵害に対応する法律がないため、あからさまなヘイトスピーチでさえ野放しにされている。

12日に成立した川崎市のヘイトスピーチ禁止条例でも、ネット上の人権侵害は刑罰の対象外となった。現代は子どもたちでさえ多くがスマートフォンを持っており、インターネットに簡単にアクセスできる。子どもたちの被害を防ぐためにも早急な対応が求められる。

(孝)

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