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〈取材ノート〉一網打尽

2019年09月10日 14:29 コラム 暮らし・活動

「新鮮な鮎はスイカの香りがするんだよ」。横に座る総聯鹿児島県本部委員長は得意げに語った。「民族フォーラム2019in九州」の企画である朝青鹿児島と朝青福岡の合同座談会(8月3日)、その交流会に顔を出した本部委員長に「鮎漁を体験してみないか」と誘われた。翌日の南九州同胞川遊びで食す鮎を地引網で捕獲するのだという。

起床時刻は午前3時。寝ぼけ眼をこすりながら夜道を歩き、本部会館に到着した。車に乗り込んで10分ほどのところに漁場の川があった。集まったのは本部委員長のほか、福岡と鹿児島の朝青員、九州青商会の会員、本部委員長の知り合いの日本市民ら約20人。言われるがまま滑り止めがついた足袋を履く。そして車のライトを全て消す。鮎は警戒心が強いためだ。暗闇に包まれた川辺に虫の鳴き声が響き渡る。見上げれば、都会ではお目にかかれない満点の星空。

漁経験が豊富な鹿児島勢が網を仕掛けた後、初心者勢が川に入った。石を投げて鮎の逃げ場を狭めていき、網の方へと追い込む。この日は「不漁だった」が、それでも約100匹が捕れた(大漁時は300~400匹だという)。鮎に鼻を近づけてみると、確かにスイカの香りがする。

百聞は一見にしかずというように、漁に参加しなければ知ることのできないことがたくさんあった。美味しく頂いた塩焼きの鮎に、どれほどの汗が滲んでいたかということも。

(徳)

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