共有すべきサバイバーたちの思い/次世代が問う「慰安婦」問題(下)
2019年07月29日 17:08 主要ニュース 歴史日本の中学歴史教科書から「慰安婦」問題に関する一切の記述が消えた1997年。2000年以降からはすべての歴史教科書から関連する記載が消えることとなる。義務教育の場で、学ぶ機会が与えられかった世代は、手さぐりでこの問題を考えるしかなく、それは必然的に朝鮮半島と日本のこれからを担う次世代たちの、歴史認識にも大きな隔たりを生じさせている。
14日、写真展「となりの宋さん」(東京・中野)の開催を記念したオープニングイベント会場には、大学生を中心とした若者の姿がたくさんみえた。イベントだけでなく、先述した写真展を企画したのも20代の青年たち。イベントのタイトル「教科書に載っていない世代が語り合う日本軍『慰安婦』問題」に象徴されるように、この日の登壇者たちは、戦時下における日本軍による蛮行について、公教育の場での学ぶ機会に恵まれなかった世代だ。
「史実をきちんと知りたい」「加害国の責任を果たすってどういうこと」
終始そんな言葉が飛び交ったトークイベントは、古橋綾さん(東京外国語大学非常勤講師)による司会進行のもと、谷虹陽さん(慶応義塾大学・22)、石田夌太さん(東京外国語大学・20)、阿部あやなさん(社会人・27)、鄭優希さん(社会人・25)が登壇した。
司会の古橋さんは、先述したような環境下で「関心がなければ『慰安婦』問題についてわからない人々が大半」であることに言及したうえで、「登壇者らはそんななかでもこの問題について考えてみようと集まったメンバー。今こそ若い世代の視点から考えなくては」と、イベントの主旨を語った。以下、トーク内容を紹介する。