〈人・サラム・HUMAN〉広島無償化裁判を支援する会・事務局次長/大月純子さん
2019年06月15日 10:00 主要ニュース過ち繰り返さぬよう
神戸で生まれ育った「被爆2世」。97年に母が被爆した広島で牧師になるまで「被害者意識」を抱いていた。被爆した南の元徴用工らが損害賠償訴訟を起こしていた当時、法廷で責任を問われていたのは、三菱重工業広島造船所で所長を務めた祖父の過去の行い。その光景を前にして「自分は加害者側に立っている」と気づかされた。
「過ちを繰り返さないため」イラク戦争、辺野古新基地建設、岩国基地の爆音被害に反対する市民運動に参加。その過程で広島無償化裁判の足立修一弁護団長と知り合った。そして16年の日本基督教団西中国教区総会で、高校無償化制度の適用に向けて取り組む旨の議案が可決されたことを機に、裁判支援活動に取り組み始める。
地裁が下した不当判決に憤りを覚え、街頭宣伝でマイクを持って話している時には罵声を浴びせる年配者や冷やかな態度をとる青年たちを目にした。「在日朝鮮人の歴史的背景を知らない人があまりにも多い。日本の加害性が放置され続けた責任を痛感する日々だ」。
真の友好親善を実現するには「相手を知ることが何よりも大切」。日本学校で非常勤講師を務める彼女にとっては、授業時間も理解と共感の輪を広める大切な空間だ。「時には朝鮮学校の運動会や朝鮮訪問の修学旅行の映像を見せることもある」。朝・日の垣根を越え、次世代がつながっていくことを切に願っている。
(徳)