大転換のチャンス
2018年05月15日 08:27 春・夏・秋・冬史上初となる朝米首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれる。トランプ大統領が自身のツイッターで明かした。それに先立ち、ポンぺオ国務長官が訪朝。金正恩委員長に大統領の口頭メッセージを伝え、「首脳会談が素晴らしい未来のための第一歩になるだろう」との返答をもらった。
▼首脳会談の議題とその解決の方向性が決まったようだ。朝鮮に抑留されていた3人の米国人が釈放された。大統領はその事実もツイッターで公表した。そして自ら空軍基地で彼らを出迎え、テレビカメラの前で「金正恩委員長に感謝する」と述べた。
▼大統領の言動については、支持率が低迷する中、朝米関係の進展と自らの成果を誇示するための演出を施しているとの指摘がある。彼はビジネスマン出身者で、テレビのリアリティーショーで名前を売って出てきた人物だ。しかし、朝米の首脳レベルで行われる交渉は、目先の危機を回避し、当面の利益を得るための「ディ―ル(取引)」ではない。世紀を超えて続いてきた朝米対決に決着をつけるものだ。
▼米国本土に対する核報復能力を持った朝鮮が「核なき朝鮮半島」への意志を示している。朝鮮を敵視し、核で威嚇することで、地域対立をつくりだし、自国の覇権を維持する米国の政策は限界点に達した。金正恩委員長は、米国自身が変わるための道筋をつけてくれた。大統領は、そのことに感謝し、千載一遇のチャンスを逃すべきではない。(永)