【インタビュー】進む「戦争ができる国」づくり/軍事評論家・前田哲男さんに聞く
2017年12月20日 10:17 主要ニュース 朝鮮半島過去最高額の防衛費/「敵基地攻撃能力」保有へ踏み出す
朝鮮の新型大陸間弾道ロケット「火星15」型の試射成功により、朝米対決の新たな局面を迎えた2017年。一方、日本では、朝鮮の「核・ミサイル危機」が煽られ、安倍政権の目論む「戦争ができる国」づくりが着々と進んだ1年でもあった。日本の軍国化の動き、朝・日関係の展望について、軍事評論家の前田哲男さん(79)に聞いた。(まとめ・金宥羅)
―「戦争ができる国」づくりは、どこまで進んだか
戦争法(安全保障関連法)の施行から2年を迎えようとしている。戦争法により、集団的自衛権の行使が可能となり、自衛隊が自衛ではなく、外国で軍隊として行動できるようになった。米国とは「攻守同盟」の関係になったといえる。
法律の面で大きな変化があったことで、安倍政権は、兵器の調達や日米同盟の連携強化、日米豪の共同訓練実施など軍事体制の強化を着々と進めている。
5月1日には、海上自衛隊の護衛艦「いずも」による初の米イージス艦の防護がおこなわれ、4月以降には数回にわたり、米イージス艦への洋上給油が行われた。

海上自衛隊の護衛艦「いずも」(連合ニュース)
また、安倍政権下で、防衛費は6年連続で右肩上がりとなっている。来年度の防衛費概算要求は5兆2551億円で過去最高額を記録した。
来年には、19年から23年までの兵器調達計画である「中期防衛力整備計画」が策定される。法律によって、戦争ができる条件が作られた今、その影響が具体的な兵器装備の増加という形で表れるだろう。
―どのような軍備拡大が予想されるのか

軍事評論家・前田哲男さん
「中期防衛力整備計画」では、ミサイル防衛とサイバー攻撃対処のための技術研究に重点が置かれる。
日本のミサイル防衛システム(MD)はこれまで、迎撃ミサイル「SM3」と地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」でまかなわれていたが、今回、陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」が導入される。
政府は「北朝鮮の核・ミサイル開発が『新たな脅威』となっている」とし、これを進めるが、「イージス・アショア」は建設だけでも数年がかかることから、運用開始は23年になる見込みだ。そもそも、ミサイル防衛というものは、マッハ10~20で宇宙空間を飛行する弾道ミサイルを破壊するもので、「ピストルの弾をピストルで撃つ」と言われるほど難易度が高く、その有効性自体が怪しい。数百基あると予想されるミサイルのすべてを迎撃することはありえないわけで、ミサイル防衛というのは、現実的にはほとんど不可能と言っていいだろう。
一方、地上の目標を攻撃できる、日本初の巡航ミサイルの導入も決定され、関連経費22億円が来年度概算要求に計上された。導入するのは