〈取材ノート〉使ってはいけない言葉
2017年11月22日 14:28 コラム以前「日本死ね」という言葉が話題になった。
待機児童問題に対し「死ね」と過激な物言いで不満を訴えた言葉だ。
しかしこの言葉は、どんな時でも、誰に対しても使ってはいけないと教えられてきた筆者にとって、少し受け入れがたいものだった。それでも自分の力ではどうにもならないことに対する、圧倒的弱者のせめてもの反撃、と理解するようにした。
そういった意味で、10月29日に行われた「中大阪初級創立70周年記念大同窓会」で実行委の李昶林委員長が思わず呟いた「台風死ね」も擁護できるのではないだろうか。
70年の節目を盛大に迎えようと1月に実行委を組織し、苦労を重ねながらも「イベントを地域の力で学校を支えていくきっかけにしたい」。その一心で、出来ることは全てやってきた。金采玹校長はイベント数日前に緊急入院しながら、病を押して準備に奔走した。そうした努力の結果、大同窓会には1千人を超える人たちが集まる、はずだった。
迎えた29日。外は冷たい雨粒が横っ面を弾く強風が吹き荒れた。
「台風死ね」。惜しみなく注がれた努力をあざ笑うかのような、残酷すぎる天災へのせめてもの報復だった。それでも集まった500人の熱意に感銘を受けながらも、もうこの言葉を聞くことの無いよう、11月23日のチャリティーゴルフ、来年3月の文化公演の日の空が快晴であるよう願わずにはいられない。(孝)