高まる対朝鮮先制攻撃の危険
2017年03月09日 13:55 主要ニュース 朝鮮半島米南合同軍事演習、史上最大規模で実施
米国と南朝鮮が合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」を開始した。「年次的で防御的な」訓練という美名の下に毎年繰り返されてきた同演習だが、今年の規模は史上最大。昨年から米軍は朝鮮半島とその周辺の戦力を大々的に増強してきた。朝鮮は「侵略者の核戦争騒動」(2日、朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン談話)だとして強く反発している。
朝鮮は自衛措置
野外機動訓練(FTX)「フォールイーグル」は3月1日から4月末まで、指揮所演習(CPX)「キー・リゾルブ」は3月13日から24日まで行われる。
歴代最大規模で行われる今回の戦争演習には、在南米軍と海外から増強される米軍、南朝鮮軍、複数の追随国の軍隊を含め例年になく膨大な兵力が参加する。米原子力空母ロナルド・レーガン号、カール・ビンソン号の両打撃団と原子力潜水艦、核戦略爆撃機、ステルス戦闘機、イージス駆逐艦など各種の戦略資産が総投入される。米南当局は今年の合同軍事演習で朝鮮への先制攻撃を狙った「4D作戦」をより具体化すると同時に、米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を想定した訓練まで実施すると発表した。
朝鮮人民軍総参謀部はスポークスマン談話(2日)を通じて、米南合同軍事演習が始まった以上、朝鮮人民軍は超強硬対応措置で立ち向かうと表明した。米国の対朝鮮敵視政策に同調して今回の戦争演習に参加した追随勢力も人民軍の打撃目標になるとした。

1日から始まった米南合同軍事演習「フォールイーグル」には、米原子力空母カール・ビンソンをはじめとする戦略兵器が過去最大規模で動員されている(連合ニュース)
金正恩委員長は今年元旦に発表された新年の辞で、米国とその追随勢力の核の脅威と脅迫、戦争演習騒動が続く限り、核武力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していくことを明らかにした。
2月12日、朝鮮は新型の中長距離弾道ミサイル(IRBM)「北極星2」型の試験発射に成功した。
米南合同軍事演習開始後の3月6日には、弾道ロケット発射訓練を行った。どちらも金正恩委員長がその場に立ち会った。弾道ロケット発射訓練には、有事の際に在日米軍基地を攻撃する任務を受け持つ朝鮮人民軍戦略軍の各火星砲兵部隊が参加した。金正恩委員長は、いつ実戦に移るかわからない厳しい情勢の要求に即して、高度の臨戦態勢を維持しなければならないと述べた。
トランプ米大統領は同日、「とても恐ろしい結果」(very dire consequences)が伴うという点を朝鮮に見せなければならないと述べ、米日南3国間の緊密な協力を続けていくことについて強調した。
翌7日、南朝鮮に配備されるTHAADの装備搬入が当初の予想より前倒しして始まった。中国外務省が「断固とした反対」を表明した中、米ホワイトハウス報道官は同日行われた記者会見でTHAADについて「北朝鮮のミサイルに対応するため」だと強調した。南や日本の保守メディアなどもまた、朝鮮の弾道ミサイル発射によって「脅威が一段と高まった」としながら、THAADの早期配備を正当化しようとした。
しかし、これは詭弁に過ぎない。米国の対朝鮮敵視政策と合同軍事演習をはじめとする核による威嚇、核武力増強策動が、朝鮮の自衛的な核戦力強化措置を引き出しているからだ。
米軍戦力が大幅に増強
米国は現在、朝鮮に対する先制攻撃の準備を事実上終えた状態にある。
最近、米国の政界や軍部からは、朝鮮に対する非常に強硬な発言が相次いでいる。トランプ政権発足直後である1月31日に開催された米上院外交委員会の朝鮮の核問題を議題とする聴聞会では、「北朝鮮の核兵器を米国の安保上、一番大きな脅威として規定し、対北先制攻撃など体制転覆的(subversive)活動を展開すべき」などの発言が上院議員らの間から飛び出した。
米国で対朝鮮先制攻撃論が本格化したのは昨年からであったが、最近のこのような発言は昨年のそれと比べていっそう重みが増している。
米国は昨年から朝鮮半島一帯の軍事力を大々的に増強してきた。「金正恩政権除去」と「大量殺傷兵器回収」という米国の戦略目標達成のためだ。
まずは南朝鮮各地の米軍兵力が大きく増強された。米空軍基地がある烏山と群山には、F16戦闘機12台をはじめ米海兵隊のF/A-18戦闘攻撃機とEA-18G電子戦機などが前進配置された。また平澤にはAH-64Dアパッチ攻撃ヘリ、CH-53輸送ヘリなどが前進配置された。