〈くらしの周辺〉初任給／韓哲秀

「アボジ、給料出たらてっちりご馳走するから！」

初めて新聞を配達したのは朝鮮新報ではなく毎日新聞の夕刊だった。小学５年生の夏だ。新聞配達から帰って、生野区で焼肉「西光園」を営む父に誇らしげにそう告げたのを今も覚えている。

大阪第４初級にともに通ったお好み焼き「オモニ」の同級生が何がしかのアルバイトを始め「給料が１万円もある」ということにクラスの男子は（先生にバレないよう）ざわついた。それに触発されて安易に始めたアルバイトが僕の場合、毎日新聞の配達だったのだ。