吉見裁判／地裁に続き請求棄却

法の公正性問われる不当判決

日本軍「慰安婦」問題を研究する吉見義明・中央大学教授が、自身の著作物について「捏造」と主張した桜内文城・元衆院議員（無所属）の発言が名誉毀損にあたるとし、1千200万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は15日、吉見氏の敗訴とした一審・東京地裁判決に続き、原告側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

入廷行進のようす

2013年5月27日、外国人特派員協会で開かれた橋下徹元大阪市長の日本軍「慰安婦」問題に関する発言についての記者会見の際、同席した桜内氏は、「慰安婦に関する歴史家の吉見義明のように、戦争について公正に扱った多数の日本の(あるいは「日本人が書いた」)歴史の書物があります」という司会者の発言をうけて、「ヒストリーブックスということで吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども、これは既に捏造であるということが、いろんな証拠によってあきらかとされております」と発言。これに対し、吉見氏はその発言の撤回と謝罪を求めたが、桜内氏がこれに応じなかったため、同年7月26日に損害賠償を求める裁判を起こした。