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〈みんなの健康Q&A〉インフルエンザ 症状と処方薬

2016年11月18日 13:58 主要ニュース 文化・歴史

風邪との違いは高熱、全身倦怠感

薬が効くのは発症から48時間以内

 インフルエンザと普通の風邪はどのように違うのですか。

A 一般的に、風邪はさまざまなウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。

一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になることがあります。(表1)

ただ最近では、37℃台の発熱で病院に受診して検査をしてみるとインフルエンザだったということも増えています。その年々で流行するインフルエンザの種類に違いがあり、引き起こされる症状に違いがあります。インフルエンザが広まり始めたら、テレビや新聞や雑誌などで最新の動向について、情報収集に気を配って下さい。

 インフルエンザの予防策について、どのような方法がありますか。

 代表的な3つの方法について紹介します。

外出後の手洗い(表2)、飛沫感染対策としての咳エチケット(表3)、この2つは、正しい方法が文章では伝わりにくいので、表を参考にして下さい。

そして、適度な湿度の保持。空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適度な湿度(50%~60%)を保つことが効果的です。

Q インフルエンザの治療薬には、どのようなものがありますか。

 インフルエンザに対する治療薬としては、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ(商品名にて記載)というお薬があります。

タミフルはカプセル剤と粉薬の飲み薬です。1日2回5日間内服することが一般的です。

リレンザとイナビルは吸入薬で、薬を直接気道に届けることで、副作用が起こりにくいお薬です。

リレンザは1日2回5日間を吸入しますが、イナビルは1回吸入するだけで治療できる特徴があります。

ラピアクタは点滴注射薬で、症状が重くお薬を飲めない時や吸入ができないような時に使われます。

どのお薬も発症から48時間以内に開始しなければ、十分な効果は期待できません。時間との勝負になるため、インフルエンザにかかった場合はどこの病院や診療所にかかるかなど、事前に決めておくようにしましょう。

 インフルエンザの治療薬には、どの程度の効果がありますか。

 発熱期間が1日間程度の短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。

タミフルによる副作用のニュースなどで、お薬による治療を怖いというイメージがあるかもしれません。

吸入薬については、内服薬のタミフルに比べて副作用の頻度が少ない特徴があります。

お薬の効果を「たかが1日」と捉えるのか「されど1日」と捉えるのかで、薬物治療を行うかどうか判断してみて下さい。

そして、インフルエンザにより熱が出た時には水分補給により脱水を防ぐことも大切です。

 インフルエンザにかかったら、どのくらいの期間外出を控えればよいのでしょうか。

 一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。そのためにウイルスを排出している間は、外出を控える必要があります。

排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用する等、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。

学校や職場でインフルエンザへの対応について、どの程度の期間を休むのかやもし休む場合には検査による確定診断が必要かなど事前に確認をしておきましょう。

参考までに、現在、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています。

(薬剤師 朴紘慶さん/在日本朝鮮人医学協会東日本 薬剤師部会)

【参考文献や資料の引用】

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