公式アカウント

〈取材ノート〉無数の星々より美しい光景

2016年10月11日 16:01 コラム

取材ノート初めて訪れた岩手の地。八幡平市のペンションで気温10度を切る寒空の下に半袖一枚、そこで見た夜空に輝く無数の星々を、今でも鮮明に思い出すことができる。「東日本大震災復興の架け橋」というスローガンで行われた第71回国民体育大会(国体)。その開催地である岩手に、朝高生たち5人が出場するということで取材のため現地入りした。

ボクシングの試合当日、1回戦の試合に勝利した大阪朝高の李脩平選手と写真を撮る高校生とその母らしき人がいた。もしや、と思い声をかけると会場近辺に在住の同胞だった。総聯岩手県本部の案内を見て朝高生の出場を知り、応援に訪れたという。次の日、試合後に選手たちに差し入れを渡したいと言うので、李脩平選手と同じく国体に出場した金将樹選手の父母に紹介。すると両者は記者の目前で熱い握手を交わした。その光景に、星々を見上げたときよりも熱い感情が胸の奥から込み上げてきた。

選手が全国大会に出場することでその地域の同胞が湧き、会うことのなかった人と人の、同胞と同胞の出会いが生まれる。朝鮮学校に通う生徒たちが「全国」に出場することには、一体どれほどの可能性が詰まっているのだろうか。

「離れていても私たちは同じ同胞としてつながっているんだと感じることができた」

応援に訪れた、ある岩手同胞のこの言葉に朝高選手たちの流した汗が報われたように感じた。

(史)

Facebook にシェア
LINEで送る