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〈それぞれの四季〉「高麗三神仏の舞」誕生の秘話/康貞奈 

2016年08月19日 16:02 コラム

思わぬ事から金剛山歌劇団公演タイトルの題字を書くことになった。10年前、池袋のパスタ屋で振付師の妹が一枚の写真を差し出した。それは朝鮮新報に載った霊通寺の跡地から発見された仏画の切抜だった。高麗時代の名僧・義天ゆかりの霊通寺は朝鮮天台宗の名刹で、2005年に復元された。日本の大正大学や南や日本の天台宗関係者らが協力を惜しまなかった。それを知らない彼女はただその美しさに心奪われ、これを作品にしたいと言った。私の関心は彼女の創作に向けられた。果たして仏教の世界をどう表現するのだろうか…。

彼女の不眠不休の努力が始まる。南の僧侶から寄贈された本から仏教表現を徹底的に考察し、シナリオを書き音楽と舞台美術を祖国に依頼する。仏教衣装は南の一流のデザイナーの協力を得る。日本で生まれ育った振付師が北南の専門家たちと連携し、自身で振付ける。制作過程で南北統一が成されている事に心震えた。不思議な力に導かれるように「高麗三神仏の舞」が誕生した。

繊細な指の表現、目も眩む鮮やかな衣装を纏い、しなやかで軽快ながら優雅に舞う菩薩たちの美しさに誰もが息を呑んだ。南での公演でも民族の同質性に溢れた作品と絶賛された。同胞からのリクエストも多く、奈良の薬師寺の本堂でも舞った。

拙い字でタイトルを書くようになったきっかけはこの時の感動から。

困難を乗り越え活躍する歌劇団の公演を毎年、ワクワクしながら楽しんでいる。             (書道家)

 

 

 

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